日銀が打ち出した金融刺激策は、市場が予想したような全面的なものではなかった。英国中央銀行が4日に行う金利設定会合は市場の注目の的となっている。
市場が今か今かと待ち受ける中、日銀がついに、追加の金融緩和策を打ち出した。日銀はこのほど、デフレを防ぎ、経済成長を刺激するため、指数連動型上場投資信託(ETF)の買入量を年間3兆3千億円から6兆円に拡大した。しかし日銀は、年間80兆円の資産購入と0.1%のマイナス金利政策は変えないことを宣言した。
インフレがなかなか進まず、円が値上がりする中、日銀にはここ数カ月にわたって、緩和政策拡大の圧力がかかって来た。とりわけ日本の安倍晋三首相が28兆円の新たな刺激策を発表してから、市場では、日銀がより大胆な措置でこれと連携することへの期待が高まった。CLSAストラテジストのNicholas Smith氏は、安倍晋三首相が予想外の財政刺激計画を発表したのは、日銀の黒田東彦総裁がもはや大幅な措置を出すことができないことを見越してのことだったのではないかと見る。
あるトレーダーは、日銀の政策決定を「弾丸も食料も尽きた」ものだと受け止めている。日銀の黒田総裁は、史上を慰めるためか、日銀の金融政策はまだ限界には達しておらず、日銀の次の会合では金融政策のインフレ目標実現の実際の効果を評価するとし、金融緩和の措置拡大の可能性を示唆している。
市場の焦点は日銀の後、英国の中央銀行に移っている。イングランド銀行は7月、予想外の金利据え置きを発表した。だがトレーダーとエコノミストの多くは、今週開かれる8月の金利政策決定会合でイングランド銀行が7年ぶりの金利引下げを行うと予想している。金利先物取引は、イングランド銀行が今週金利引下げを行う確率がすでに100%に達していることを示している。最新のロイター社の調査によると、イングランド銀行は8月の会議で、金利を25ベーシスポイント引き下げて0.25%とする見通しだ。だが多くのエコノミストは、イングランド銀行が大規模な資産購入計画を再開することはないと考えている。