18日付読売新聞によると、日本政府は各国の人工衛星や宇宙ゴミなど、宇宙空間の状況を防衛省が常時監視する新システムの構築に着手した。人工衛星の安全運用に役立てるほか、宇宙に関する日本独自の情報収集体制を強化し、米国などとの安全保障面での一層の情報共有にもつなげたい考えだ。
計画では、日本の防衛省が今年度中にレーダーや光学望遠鏡を活用したシステム全体の設計を行い、2017年度から運用システムや、宇宙を監視するためのレーダーなどの整備を開始する。新システムは2022年度までの稼働を目指している。防衛省は今年度予算にシステム設計費として約2億円を計上している。
衛星の監視は、各国で主に軍が担当している。長距離通信、戦闘機と無人機の使用、地上監視、ミサイル誘導などには人工衛星が必要だ。人工衛星が破壊されれば、甚大な影響が生じる。
特に米国は、軍事衛星と地上レーダー網を使い、宇宙空間の監視に力を入れている。さらに仏独豪などと緊密な情報共有システムを形成している。
日本は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の光学望遠鏡などの設備を活用してきた。しかし米仏独豪の監視体制と比べると、日本はまだ小宇宙空間の監視に留まっており、情報収集能力も低い。政府関係者も、米国から「見返り」として得られる情報が少ないと指摘している。
日本は、朝鮮の軍事施設の偵察に用いる情報収集衛星による観測を続けているが、弾道ミサイル発射など不測の事態が生じた際には、米国の早期警戒衛星と偵察衛星の協力が必要だ。これらの衛星が破壊されれば、日本の防衛は深刻な事態に陥る。そのため日本政府は新システムを構築すると同時に、米国との情報共有体制の整備を進めている。米国の世界を網羅する監視網の、東アジアの部分を日本が補っていく。
新システム構築は、衛星攻撃兵器の開発と配備を続ける中国に対抗するためでもある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年8月21日