日本政府・企業は、4年後の東京五輪がもたらす経済効果に期待しているが、東京はこの国際的なビッグイベントの開催で多くの課題に直面している。まずはコストの問題だ。CNNによると、日本は東京五輪メイン会場の予算を削減したが、東京五輪の総経費が2−3兆円にのぼるという試算が出された。これは当初の7300億円という経費を大幅に上回る。テンプル大学ジャパンキャンパス経済学部の客員教授はUSAトゥデイに対して、「五輪は素晴らしい祭典ではあるが、経済調査によると、五輪は経済にプラスの影響を生まない。すべての五輪の経費は、少なくとも2倍以上に膨れ上がる」と指摘した。
中日問題専門家の陳言氏は「コスト回収は確かに大きな問題だ。東京の人口は1964年以降に増加を続け、社会が20年以上に渡る成長を維持した。当時の五輪経費は回収されたばかりか、社会に多くのインフラを残した。しかし東京の人口は2020年以降に減少を続け、しかも人口減が激化する。これに高齢化や所得減が加わり、新たに建設される施設の利用者がなく放置される可能性がある。そのため投資リスクも非常に大きい」と分析した。
建設費の他にも、日本には労働力という難題がある。USAトゥデイによると、日銀は今年、労働力の減少と2011年の東日本大震災の復興再建により、五輪プロジェクトの建設作業員とサービス従事者が70万人不足している。建設工事が延期され、必要なサービスを提供できなくなるという、潜在的なリスクが存在する。この状況により、日本は女性、高齢者、外国人の労動者を増やさざるをえない。しかし過去の経験を見ると、日本のこのような取り組みの多くが失敗に終わっている。
他にも政治的要素が、東京五輪の準備作業に影響を及ぼす。安倍首相の「8分間のプレゼンテーション」は好評を博したが、これにはカラクリが隠されている。日本のベテラン政治問題専門家は環球時報に対して「安倍首相は日本と世界に対して、4年後の東京五輪でも自分が首相であると伝えた」と指摘した。規定によると、自民党総裁の任期は3年で、2期までとなっている。安倍首相は2012年9月に自民党総裁に就任したため、2018年9月には退任しなければならない。しかし安倍首相の周辺では2015年の総裁選後、総裁は2期までという規制を取り消す必要があるという声があがった。特に自民党など安倍首相の勢力は今年7月の参院選で3分の2以上の議席を獲得しており、総裁続投の呼び声が高まっている。自民党内には安倍首相の後継者としてふさわしい人物がおらず、安倍首相の任期延長という説がささやかれる原因になっている。安倍首相の続投をめぐる駆け引きは、東京五輪の前哨戦になるかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年8月31日