中日の地政学的な力関係の大きな変化は、日本側の心理的な「ねじれ」の主要な原因となっている。日本の土地にはまだ大量の米軍が駐留しており、主権には一定の不十分が存在している。日本は過去、世界に誇る経済的な成果をこのような局面に対する慰めとして来た。だが現在は経済的にも「失われた20年」に遭遇し、その自信を的支えていたものが崩れた。日本はかつてない困惑に陥り、すぐには整理しきれない多くの戦略的なアイデアと幻想とに直面している。
「一衣帯水」と言われる両国が陥った膠着状態は、普通の地政学的な膠着状態ではない。大量の歴史的な恨みや記憶が両国の衝突の隙間を埋め尽くしている。争いは感情的なものであるにもかかわらず、両国はいずれも現在、融通の余地はすでになく、退路もないと感じている。膠着状態の解消には時間が要る。時間の経過は、感情を和らげる効果があるだけでなく、現在考えられていない外部環境の変化をもたらし、苦境の中に希望を見出すことにつながる。
このために中日両国は少なくとも次の二つに注意する必要がある。
第一に、両国の軍事力の突発的な衝突の防止に最大限の努力を尽くす。そのような突発事件が出現すれば、両国民の間の情緒的な衝突は津波のようにとどめようのないものとなる。両国社会にたまった不満に放出の機会を与えてはならない。そうなれば両国関係の完全な崩壊にもつながりかねない。中日両国は、「いかなる状況においても最初の一発を打たない」という確固たる自制を保ち、これを誰も越えてはならないレッドラインとしなければならい。
第二に、中日経済協力の規模は依然として大きく、双方関係が冷戦と向かうのを牽制する決定的な力となている。両国政府は、相互の民間経済協力の弱まりを示すあらゆる動向に注意し、政治的な冷え込みが経済分野へと一気に拡散するのを防ぐ必要がある。中日間の大規模な貿易と人員の往来を保持することは、両国間の考えが徹底的に政治化・軍事化することを防ぐのに役立つ。
中日両国の絶えず変化する関係局面において、双方はそれぞれいくつかの変数を提供している。中国側では、急速な発展が持続し、軍事力を含む総合的な国力がますます高まっていることが、基礎的な変数となっている。日本側では、政治が右傾化を続け、対中政策がますます強硬なものとなっていることが、最も際立ち、最もやっかいな問題となっている。
中日両国には中短期的には、1970年代や80年代のような友好時代を迎えることはないと考えられる。双方は現実に向き合い、まずは「冷平和」を維持しつつ、関係のさらなる正常化に向けた条件を作り出す必要がある。冷戦に向かわないということは、双方社会がともに持つ願いだろう。だとすれば両国は、十分な知恵と忍耐心をもってそのために努力する必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年9月30日