左図:聶栄臻氏が1980年に北京の人民大会堂で、40年前に八路軍に救われた日本人女性の美穂子さんと会談した。右図:聶栄臻司令員と美穂子さん(当時)。
日本に永住帰国した中国残留日本人孤児たち自らが、「中国残留孤児問題フォーラム」を立ち上げる。戦後71年が過ぎて社会に広がる戦争の記憶の風化への危機感が背景にある。孤児たち自身も70歳を超え、高齢化が進む。26日付朝日新聞が伝えた。
「最近は私たち残留孤児のことを知らない人もいる。戦後70年の昨年は報道もされたが、今年は話題にもならない」。呼びかけ人のひとりで、世田谷区に住む中島幼八さんのそんな思いがフォーラム設立のきっかけだ。
自分たちで何かできないかと、日中友好の会理事長、池田澄江さんに相談。池田さんも呼びかけ人になり、2人で企画を進めてきた。
今年はまず中国人養父母たちへの育ての恩に報いる声をあげることに決めた。「敵国のこどもを育てた中国人養父母」をテーマにしたシンポジウムを開く。
著作の中で養父母との日々を記した中島さんが基調報告をした後、日中協会理事長の白西紳一郎さんらがパネル討論をする。司会は残留孤児2世で首都大学東京教授の大久保明男さんが務める。孤児たちによる舞踊劇「中国のお母さん」や楽器演奏、独唱などもある。
中島さんは「養父母がいなければ私たちはいま生きていない。敵国の子どもを育てた彼らのことを日本の人たちに広く知ってもらいたい」。池田さんも「私たちは日本人です。日本人は恩を忘れない、恩返しをするということも伝えたい」と述べた。