多くの第二次世界大戦A級戦犯を祀る日本の靖国神社では10月17日から20日にかけて、1年に1度の秋季例大祭を行う。日本政府の関係者によると、安倍晋三首相は同期間に参拝せず、自費で真榊(まさかき)とよばれる供物を奉納する。安倍首相の支持基盤となる「保守派」に配慮したかたちだ。
安倍首相は、2度目の政権発足後は2013年12月26日に靖国神社を参拝したが、終戦記念日や春秋の例大祭期間にはまだ参拝していない。日本メディアによると、現在の中日韓3カ国が12月初めに日本で首脳会談を行う方向で調整が整いつつあるなか、安倍首相は「中韓との関係改善」を優先的に考慮した。
日本の与党、自民党の二階俊博幹事長は10日、安倍首相が近く衆議院を解散し、再選挙を行う方針を示唆した。日本の首相は任期4年となり、現時点で安倍首相の任期は2018年12月に終わる予定。自民党総裁の任期が延長され、安倍首相が次の選挙で勝てば、安倍首相の任期は少なくとも2021年初めまで延びることになる。
共同通信社の分析によると、歴史問題で近隣国との争いを避けているのは、安倍首相が長期執政を行い、「政治遺産」を造ることを望んでいるためだという。平和憲法改正の宿願をかなえようとするなか、周辺国と摩擦がある状況で日本国内の議論を進めれば、隣国が安倍政権の反対勢力を支え、最終的に計画は阻まれてしまうだろう。
安倍政権は着実に布石を置き始めている。今年8月15日に開かれた全国戦没者追悼式で安倍首相は「歴史と謙虚に向き合う」と述べたが、70周年談話にあった「反省とお詫び」の言葉は無く、歴史問題に「けりをつける」考えが際立ち、淡々と処理しようとの意図がうかがえた。
また、靖国神社の参拝問題は毎年隣国との摩擦を引き起こしているが、安倍首相にとっては自身の主要な支持基盤をどう固め、参拝を支持する日本の右傾化した保守勢力との距離をつかむかも重要な課題となる。このため安倍首相は4年連続で、日本の敗戦記念日と春秋の例大祭期間の参拝を止め、自費で祭祀料や供物を慰霊のために奉納している。