米国の歴史上最悪と言われた大統領選は、ビッグマウスで政治の素人であるトランプ氏が勝利し、最も野心あふれる米国人女性であるヒラリー氏の敗北によって幕を下ろした。選挙後間もなく、トランプ氏の当選による金融市場の激変に対応するため、日銀が緊急会合を開いた。安倍晋三首相も直ちにトランプ氏に祝辞を送り、「日米両国は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値の絆で固く結ばれた、揺るぎない同盟国です」と強調した。日銀の金融市場に対する迅速な反応と同じく、安倍首相は迅速に大統領選の結果に対応した。これは米国の内政の調整が、米日同盟を前提とする日本国内の政局の安定性に、直接的もしくは間接的に影響を及ぼすからだ。
日本は衆議院の臨時国会の会期中だ。
2014年に始まる本国会は来年に解散を迎える。今回の臨時国会の重要任務は、来年の解散前、連立与党が多数の議席を占めるうちに、TPPを国会で承認させることだ。トランプ氏は、TPP離脱を明言している。現在の大統領選の結果により、日本政府は引くに引けなくなっている。トランプ氏の就任後の政策により、TPPが米国の主導を失う空虚な協定になれば、野党のさまざまな批判を浴びながら開かれた臨時国会が意義を失う。首相は直ちにトランプ氏に祝辞を送り、10日に電話会談を約束した。さらに首相補佐官を派遣し、トランプ氏との連絡ルートを作った。米日同盟という大きな枠組みの中で、米国の内政・外交のすべての動作が、日本に対して表と裏の強いけん制力を生んでいることが分かる。
自民党内では先月25日、総裁任期を2期6年から3期9年に延長することが決定された。安倍首相は政権運営を続ける技術的な問題を解消し、アベノミクスを貫徹するため、党内の障害を取り除いた。今後はTPP加入と消費増税という2つの経済問題が続く。安倍首相はこれにより、アベノミクスによる有権者の支持を固め、来年の衆院選で連立与党の過半数の議席を確保しようとしている。これは最終目標である改憲に、時間と空間の二重の保証をもたらす。これらはみな、米日同盟という大きな枠組み内で、日本が「正常な国」になるための「物的基礎」だ。しかしながらトランプ氏という「トラブルメーカー」は、日本に大きな難題を突きつけた。選挙中に内政・外交で驚きの発言を繰り返しており、その政治の気まぐれな性質、不透明性が、安倍首相と日本政府が対応すべき新たな課題になる。これは同時に、米日関係に多くの不確定要素をもたらす。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年11月10日