韓国の韓民求国防長官と日本の長嶺安政駐韓国大使は23日、両国を代表し「軍事情報包括保護協定」に署名した。同協定の発効後、韓日両国は米国を「迂回」し、朝鮮の核兵器とミサイル実験を含む軍事情報を直接共有できるようになる。
聯合ニュースによると、韓国は同協定発効後に日本の衛星5基が集めた情報を入手する。日本側は韓国の人の手で収集した情報、盗聴により得た情報を得ることができる。
韓国政府が同協定を推しているが、野党と国民の同意は得られていない。民間調査会社ギャラップが先週実施した調査によると、韓国人の59%が同協定の署名に反対している。
上海外国語大学国際関係・公共事務学院客員研究員の馬堯氏は、「まず、朝鮮は韓国に近すぎ、攻撃を発動すれば韓国に残された時間は短い。日本が提供する情報は、この不足を補うことが出来ない。次に、韓米は軍事同盟関係であり、情報を共有できる。日本が提供する情報が米国を上回ることはない。そのため日本が同協定から得られる利益の方が大きい。韓国がこのタイミングで同協定を批准したのは、おそらく安全面の考えからではない」と指摘した。
アナリストは「韓国政府は国民の反発を顧みず同協定を推進したが、これには複雑な原因がある。主に韓国と米国の両方面から見ることができる」と述べた。
韓国国内を見ると、朴槿恵大統領は友人・崔順実による国政介入問題の渦中にあり、同協定の「電撃署名」はこれと関連している。
米国を見ると、バラク・オバマ大統領の任期が間もなく満了し、韓日情報協定の署名が喫緊の課題になった。
韓国政府が日本と情報協定の署名を決定してから、「売国」の声が後を絶たない。これは軍事協力が韓日両国の協力のうち、敏感な内容だからだ。
まず日本は1910−45年に朝鮮半島を植民地支配した。あの苦しみの歴史を、韓国人は忘れられない。それから、双方は現在も未解決の領土問題を抱えている。
韓国では、日本の安倍晋三首相が日本の侵略の歴史に関する従来の立場を改めておらず、むしろ日本を戦争を発動可能な国にしようと試みるなか、同協定の署名は適切ではないとされている。
それから韓国人は現在、朴政権が混乱に乗じて、韓日の軍需品を相互に融通できる「相互軍需支援協定」の締結を推進することを懸念している。
両国の構想によると、韓日の部隊は軍事演習中に、互いに食料・水・医療サービスなどの武器以外の軍需品を融通できる。さらに日本の部隊は緊急事態発生時に、韓国の領土に入る許可を得られるようになる。情報協定の交渉が進展していなかったため、両国は軍需支援協定の交渉を中断していた。
馬氏は「情報協定の署名後、双方が関連軍需協定の交渉を継続する可能性を否定できない」と話した。
「この軍需協定は米国に有利だ。トランプ氏は韓日への防衛の義務を減らすと発言しており、そうなれば韓日が相互支援する必要があるからだ。ましてや現段階の韓国政府は、米国からの支援を切に願っている」
専門家は「国内政治の膠着状態を打破できないため、現在の韓国の外交には危険を冒す傾向がある。これは国民の注意をそらすためであり、韓国の国益ではなく個人、さらには正当の利益のためだ。この状況が続けば、韓日が軍需協定で歩み寄り、朝鮮半島情勢をさらに複雑化させる可能性がある」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年11月24日