インドの状況はシンプルだ。日本―インド―中国という政治のトライアングルの情勢が、非常に明瞭だからだ。インドは近年、インドネシアのような戦略的「迂回」を選択していない。インドが外交関係を発展させる際に、日本側を重視していることは紛れもない事実だ。両国の現在の経済貿易関係は、中国―インドを大きく下回るが。
全体的に見て、日印の準同盟関係の形成が、世界の政治的駆け引きの中で最も明らかかつ重要な流れの一つになっている。覇者の米国が国際事業から身を引く流れが今後も続けば、この準同盟の重要性が大きく高まる。
そのためインドが、20世紀前半の水準にとどまる鉄道インフラを発展させるという、重大戦略の難題の解決を誰に委ねるべきかは明白だった。モディ首相の訪日中に、それが裏付けられたにすぎない。
双方は共同声明の中で、近年議論してきた二国間協力の「旗艦プロジェクト」の進捗について紹介した。これは総延長500キロ以上、総工費150億ドルにのぼるインド初の高速鉄道、ムンバイ〜アーメダバード間の鉄道計画のことだ。日本は同計画に技術支援を行い、資金の8割を賄う。日本はインドに、償還期間50年、利子率年0.1%の円借款を供与する。今年12月に着工、2023年に使用開始を予定。
インド政府が残りの5本の高速鉄道の建設を、どの国に任せるかについては、疑問にもならないかもしれない。これらの高速鉄道は多かれ少なかれ、ムンバイ〜アーメダバード間の鉄道と交わるからだ。
中国から「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)という枠組みに基づく交通輸送計画に再三招待されているにも関わらず、インドが終始反応を示していないことは興味深い。
しかし中国西部の省と、アラビア海に面したグワダル港を結ぶ大型プロジェクト「中国・パキスタン経済回廊」が全面的に展開されるなか、インドが他の反応を示すことには期待できない。
日本と中国は近年、東南アジア諸国(インドネシア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、タイ)のほか、アフリカと中南米で高速鉄道の受注を争っている。
交通インフラの整備という問題は、発展途上国の全体的な進歩に対して重要な意義を持つ。これは数千億ドル規模の、潜在的な巨大市場だ。この市場で有利な位置を占めるため、世界の主要参加者は今あるすべての手段を活用している。しかもその目標が、経済のみに限られることは絶対にない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年12月2日