日本の安倍晋三首相は1日夜、訪日中のシンガポールのトニー・タン大統領と会談した。両国首脳は、両国で協力し環太平洋経済連携協定(TPP)を推進していくと表明した。
米次期大統領に当選したトランプ氏は、就任初日に米国をTPPから離脱させると表明した。「盟主」が離脱を表明しているにも関わらず、日本とシンガポールはなぜ諦めようとしないのだろうか?この協力する「脇役」は、瀕死のTPPを救うことができるだろうか?
日本とシンガポール、TPPを諦めきれない理由
日本とシンガポールは現在、国内でTPPを積極的に推進している。2日付シンガポール華字紙『聯合早報』によると、シンガポールは来年TPP発効に向け法改正を行う。日本では衆議院ですでにTPPが可決されており、参議院での審議を待つ状態となっている。
TPPはほぼ終了となったように見えるが、日本とシンガポールはなぜ諦めきれず、手を離そうとしないのだろうか?
外交学院国際関係研究所の周永生教授は「日本はTPPにより経済的に米国とのつながりを強化し、米国の各方面との協力を強化しようとしている。同時にTPPを通じ、日本にとって役に立つグループを作り、新たな世界経済・貿易ルールを制定・主導することができる。経済で中国と対抗し、最終的にこのような経済圏を構築することで、政治・経済・軍事協力を強化する全面的な体制を作り、効果的に中国に対抗することができる」と分析した。
シンガポールが全力でTPPを推進するのは、同国が対外貿易に強く依存しているからだ。聯合早報によると、リー・シェンロン首相はインタビューに応じた際に、TPP発効により同国が1年で10億シンガポールドルの関税を節約できると見積もった。同時にシンガポールはTPPの失敗が、米国のアジア太平洋撤退の象徴になることを懸念している。シンガポールがこれほど米国をアジア太平洋に留めようと必死になっているのは、米国の目標に迎合・協力することで、自国の戦略的な狙いを実現するためだ。まず地域の小国であるシンガポールは、アジア太平洋事業でより大きな影響力を発揮し、米国のアジア太平洋戦略の支柱になる。次に、シンガポールの発展の礎を守る。
日本とシンガポールが協力、TPPを救えるか?
米国、日本、シンガポールなど12カ国が今年2月、TPP協定に署名した。各国のそれまでの合意内容により、12カ国が2年内に国内の批准を終えられなければ、同協定の発効は少なくとも6カ国の批准が必要となる。なおかつこの6各国のGDPの合計が、12カ国の85%以上に達しなければならない。米国のGDPは現在、参加国全体の60.4%を占めている。つまり米国が参加しないだけで、TPPが正式に発効しないことになる。
それでは、トランプ氏が考えを変えることはあるだろうか?
現状を見る限り、トランプ氏による米国のTPP離脱の立場は確固たるものだ。これはトランプ氏の自由貿易への反感によるものだ。トランプ氏はTPPが大掛かりすぎ、実利がなく、米国が損をすると考えている。またトランプ氏は選挙中、米国人の雇用を取り戻し、TPPから離脱すると約束を繰り返していた。トランプ氏は選挙中の公約を実現することで、誠意と信頼をアピールしようとしている。
トランプ政権が最終的にTPP離脱を決定するか、重大な調整を行った場合、TPPが発効する可能性は残されるだろうか?
日本経済新聞によると、すでにTPP参加国の間では内容の調整を行い、米国不在で早期発効させる計画が浮上しているという。
周氏は「参加国がほぼ詰めの協議を終えており、成功の可能性は残されている。ただし影響力を考えると、このようなTPPは米国が当初主導したTPPと比べることができない」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年12月5日