退避する戦艦ネバダを空爆する旧日本軍の99式艦上爆撃機(資料図)
2016年12月7日は、真珠湾攻撃の75周年の記念日に当たる。日本の安倍晋三首相は攻撃から75年後、米国の真珠湾事件に哀悼を捧げる初めての現職首相となる。安倍首相は26、27日、米国のハワイを訪れる。安倍首相は「今回の訪問は戦没者を悼むためだ。二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。その未来に向けた決意を示したい」と対外的に語っている。
だが安倍首相の今回の行動は本当に、戦没者を哀悼することだけが目的と言えるのだろうか。
あるメディアは、米軍の日本駐留費用の負担増をトランプ氏が就任後も日本に求め続ける可能性がある中で、安倍首相は今回の行動を通じて、トランプ時代に突入する米国に複数のシグナルを送っているのだと見る。トランプ氏に対する「求愛」の強化は、「米日同盟は変わらない」ことを米国と世界に示そうとするものだ。
「真珠湾奇襲」と「広島核攻撃」は往々にして、歴史学者によって対等なものとして分析され、同盟国である米日間のわだかまりとなってきた。安倍首相の今回の行動は、太平洋戦争において戦火を交えた両国の過去を乗り越え、「和解」を達成した日米同盟の重要性を際立たせる意図がある。英誌『フィナンシャル・タイムズ』は、真珠湾への安倍首相の歴史的な訪問は、日米間の最後のタブーを破るものとなると評価する。
安倍首相のこの行動はさらに、オバマ大統領の外交実績に貢献し、オバマ政権期の米日同盟関係にとっての円満で友好的なフィナーレとなる。『ハフィントンポスト』は、安倍首相のこの行動にはトランプ氏を牽制する意味もあると指摘する。安倍首相は5日、ハワイ訪問によって米日同盟の価値を再確認したいと述べている。トランプ氏は一方、この同盟に疑問を呈した過去を持つ。
外交学院国際関係研究所の周永生教授によると、安倍氏の真珠湾訪問は、米国との関係を緊密にし、米国に忠誠を示すためのものにすぎない。日本は、相手となる国家に応じて、第2次大戦への反省の態度が大きく違う。米国と戦争した歴史に対して日本が深い反省を示すのは、米国に気に入られるためにしか見えない。ほかの国、例えば中国や東南アジアの国々に対しては、過去に犯した罪の重さを軽くし、責任を逃れようとする一面を見せる。歴史への反省に対する安倍首相の認識は、現実主義的な政治の角度から出発していると考えるべきだろう。
日本の政治評論家の本沢二郎氏ははっきりとこう指摘する。「真珠湾よりも安倍首相は中国に行くべきだ。安倍首相は、南京に行って大虐殺による中国人民の苦しみを目にし、哈爾濱(ハルビン)に行って731部隊による悪行を反省すべきだ」
歴史は歴史として考える必要がある。反省や誠意を欠いた姿勢や言論は、外交ショーとしてしか受け入れられることはないだろう。真珠湾で犠牲となった米軍を追想し哀悼すべきと言うならば、中国に侵略した旧日本軍によって(南京で)殺された30万の中国人には、果たしてどのような態度が向けられることとなるのだろうか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年12月10日