日本の政府関係者は最近、北方四島問題の解決は「簡単ではない」、「会談で歴史的な進展が得られるという考えは間違いだ」などと、プーチン大統領の訪日への期待値を下げようとし始めている。プーチン大統領の訪日の期待が一度は高まりながら、その後はクールダウンを迫られたのは、安倍首相がプーチン大統領を読み誤った結果と言える。
プーチン大統領は、南千島群島問題の解決について、(1)南千島群島はロシアの領土であり、これは第2次世界大戦の結果である、(2)ロシアはこの問題について日本との対話を願っている、(3)両国の経済・貿易協力は相互信頼を高め、妥協の方法を見つけるのに利する――との3つの立場を堅持している。ロシア側は、この3つの主張が統一的な全体をなすものと考えているが、安倍首相はこれを分離し、後ろの2つだけを取り、最初の主張は無視し、巨額の資金を投入すれば北方四島問題はひとりでに解決するだろうとの誤った考えを持った。
確かにロシアは、極東地区の開発のために日本の資金と技術を必要としている。だがプーチン大統領は同時に、領土では取引しないと繰り返し強調している。
北方四島帰属の主導権はロシアが握っているが、日露経済協力の主導権は日本の手中にある。北方四島の返還が望めない状況の下、両国が今後、どれほどの範囲と強度で経済協力を展開できるかは、東京の意欲にかかっていると言える。両国の経済協力の強化は、両国の経済成長に利するばかりでなく、政治的なメリットもある。日本がこれからトランプ政府と交渉していく上でのカードになるし、ロシアが欧米の制裁を打破する助けにもなる。これは今回のプーチン大統領訪日の最大の見どころと言えるかもしれない。(文:呉正竜・中国元大使)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年12月13日