プーチン大統領にとって、訪日には外交の象徴的な意義がある。まずロシアはこれによって国際社会に対して、プーチン大統領が極東において「親中派」であるだけではないことを証明し、ロシアの外交の柔軟性を浮き彫りにすることができる。またトランプ時代に米露関係が熱を帯びる現実を受け、プーチン大統領の訪日は、ロシアが西側により包囲される外交の苦境を乗り越えることを示す。さらに重要なのは、プーチン大統領が世界3位の経済大国である日本と、経済と貿易の連携を強化する必要があることだ。ロシアの極東は経済開発が遅れた地域だ。ロシアはこの地域で外資誘致の多元性と開放性を高めることで、中日韓などの地域内の諸国が競争する局面を形成し、利益を最大化する必要がある。
これと比べると、北方四島の主権問題はプーチン大統領の訪日の重点ではない。日本は焦っているが、ロシアには時間がある。日本がプーチン大統領の訪日中に、自国の目的を達成することは不可能だ。ロシア科学アカデミー極東支部日本問題専門家のワレリー・キスタノフ氏が「日本は領土問題の進展を目指しているが、プーチン大統領の訪日の主旋律は領土問題の解決ではなく、経済などの分野での互恵の協力だ。ロシアが北方四島を無条件で日本に譲り渡すのは非現実的だ。双方が同問題を解決するロードマップを策定し、平和条約を締結できれば、それだけでも上々の結果と言える」と指摘した通りだ。
確かに安倍首相とプーチン大統領の計算は異なる。首脳会談の外交の成果は、日本から見れば空虚に見える。プーチン大統領の政治的な個性や外交の風格を見ると、安倍首相に北方四島の主権や管轄権を譲り渡すことはなさそうだ。ロシアが北方四島よりもさらに大きな地政学的・経済的利益を得るのでなければだ。しかも北方四島にはすでに1万7000人のロシア人が住んでおり、日本人は居住していない。主権どころか、管轄権の一部の移譲にしても、一連の現実的な難題を伴う。
米日軍事同盟が日増しに強化される現在、北方四島の地政学的地位が重要性を増している。ロシアは欧州と中東で、NATOの東進による地政学的な苦境に直面している。極東では同じく、米日軍事同盟の圧力に直面している。この状況下、北方四島は米日の圧力に対抗する前線基地となっており、プーチン大統領があっさりと日本に譲り渡すことはない。
プーチン大統領の訪日は、日本の計算通りにはならなそうだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年12月15日