侵華日軍南京大屠殺遭難同胞記念館(南京大虐殺紀念館)と南京大学が、南京大虐殺口述史調査活動を開始してから、100日が経過した。南京大学が9日に発表した情報によると、生存者口述史の収集活動が完了し、整理を進めているという。
今回の調査では、記憶がはっきりしている生存者51人の口述の録音を行った。不幸にも、録音を完了したばかりで、2人がこの世を去った。今回の取材により、生存者の記録は数千字の証言から、数万字の永遠の記憶に変わった。生存者の被害の歴史への注目から、各個人の命の歩みへの注目に変わりつつある。
2017年で、南京大虐殺から80年になる。この筆舌に尽くしがたい闇に包まれた日々が、文献や証拠によって全貌を明らかにしつつあるなか、分秒を争う口述史の収集活動が、この歴史の細部を補っている。
南京大学名誉教授、南京大虐殺史研究専門家の張憲文氏は「南京大虐殺の研究については近年、文書・文献から各個人の口述史に移り変わっている。生存者の証言の記録が、重要な時期を迎えている」と話した。
南京大虐殺は生存者に、終生癒やすことのできない痛みと苦しい記憶を残した。張氏は「口述史の重要な問題は、真実の二文字にある。個人的な感情と外部の要素を取り除き、客観的に記録しなければならない」と述べた。
口述史研究は参与しやすいため、近年多くの組織と個人が調査・収集活動に加わっている。
南京大学歴史学院博士、口述史歴史協会指導教員の武黎嵩氏は、「口述史の研究は重要な段階に入っているが、全国民が参与する段階ではない」と指摘した。
「南京大虐殺の生存者にとって、口述史の調査は専門的な活動だ。計画的・組織的に成果を手にしなければならず、被害者の二次被害を防ぐ必要がある」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年1月10日