日本と韓国の軍当局は9日、中国の複数の軍機が同日対馬海峡を通過し、両国の戦闘機が緊急発進で対応したとメディアに伝えた。日本側によると、中国の軍機は計8機で、H-6爆撃機6機が含まれたという。韓国側は中国軍機「十数機」が、韓国の防空識別圏に入ったとした。中日韓の防空識別圏の一部が重複しており、3カ国の国防の心理的スペースが狭いことは周知の通りだ。
中国軍は10日、これは海軍航空兵と艦隊による定例の合同訓練だったと表明した。しかし解放軍の類似する訓練が少なすぎ、日韓はまだ不慣れなようだ。
日本側はその後、中国軍機が日本の領空に入らなかったと裏付けたが、9日の新たな宣伝により中日の軍機が対馬海峡で「大規模対峙」したような印象を与えた。韓国側はさらに熱心で、中国軍機が防空識別圏に入ったことを強調した。韓国側は、防空識別圏は領空とは異なるという常識的な説明をしたが、それほど大きな効果は発揮していないようだ。一部の韓国メディアが、中国軍機の行為は「違法侵入」だと伝えたからだ。
日韓を含む他国の軍機が、中国の東中国海の防空識別圏に入ることは珍しくもないが、中国は対外宣伝で最も自制的な国だ。中国もたびたび解放軍の戦闘機を緊急発進させ、中国の防空識別圏に入った外国軍機に対応すれば、北東アジアの雰囲気はこの「識別圏ゲーム」に完全に支配されることだろう。
中日間に戦闘はないが、この「緊急発進で対応」をメディアで宣伝すると刺激的だ。一部の人間はこれを「戦争ニュース」と偽り伝え、中日の軍事衝突が目前という危機感をもたらしている。
中日は現在、相手が挑発していると感じている。日本人は、中国軍機が対馬海峡に来るべきではなく、軍艦も日本海に来るべきではなく、第一列島線上の島の間を通過し西太平洋に向かうべきではないと感じている。中国の軍艦・軍機がおとなしく近海にとどまっていれば、何事も起きないというわけだ。
中国は日本海にせよ太平洋にせよ、公海だと感じている。行きたい時に行けばよく、日本人に報告する必要はない。西太平洋でドラゴンボートレースをやろうとも、日本の妨げにはならない。日本の軍艦と軍機が頻繁に接近し妨害しているが、これこそが挑発だ。
中日韓は対抗を望んでいないが、意思疎通のルートは現実的な問題によってたびたび塞がれている。中日の問題は近年一つも解消されておらず、膠着するほど深刻化している。両国はすでに、徹底的に対立している。中韓の間にもTHAAD問題が浮上し、両国のこれまでの友好的な感情を完全に冷え込ませた。相互信頼がなく、猜疑心しか残されていない。これほど大きく後退してしまっては、短期間内に収拾をつけることは難しい。
中国は東アジアを「支配」するつもりはなく、また日本や韓国を圧倒するつもりもない。すべての国が国益を優先するが、この国益はぶつかることがある。それならばぶつかった後、それによって生まれた損失に価値があるかを冷静に分析するだろう。価値があればぶつかり続け、なければ早めに調整する。しかし我々は引っ越すことのできない隣人であり、相手を敵とする理由はない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年1月11日