7年に渡り持久戦を展開した環太平洋経済連携協定(TPP)は、トランプ新大統領の就任後、危機に立たされている。トランプ大統領は23日にTPP離脱の大統領令を出した。さらにホワイトハウスは、米国が将来的に同盟国やその他の国と、二国間貿易の機会を模索すると表明した。
トランプ大統領は就任早々、休むことなく自身の方針に基づき、新たな貿易関係を構築している。アジア太平洋におけるTPPの最も積極的な推進者である日本は、対応が間に合わなくなっている。安倍首相は「満面の笑み」を浮かべてトランプ政権に探りを入れているが、その「友人リスト」に名を連ねていない。
中国国際問題研究所の楊希雨研究員は「米国不在のTPPの実質的な意義は非常に限定的だ。まず12カ国のGDPは27−28兆ドルで、取引額は全世界のGDPの約4割を占める。米国離脱は表面的にはメンバーが1人減ったように見えるが、米国の12カ国のGDPに占める割合は約6割で、その他の11カ国の合計を上回る。言い換えるならば、米国が参加しなければ、TPPは発効できなくなる」と指摘した。
商務部研究院地域協力センター長の張建平氏は「TPPは理論上、依然として客観的に存在しており、その他の参加国は推進継続も可能だ。また米国の離脱が、その他の参加国にさらなる譲歩を強いるための駒である可能性も否定できない。日本とシンガポールは現在、米国を交渉のテーブルに戻す強い意志を示しており、米国により大きなメリットと利益、より多くの雇用創出を約束するかもしれない。これらの問題はTPP参加国が今後模索すべき解決策だ」と述べた。
TPPはかつて、オバマ前大統領のアジア太平洋シフトの象徴的な措置とされた。日本はその忠実な助手の役割を演じた。当然ながら日本が尽力したのは、利益を手にできるからだ。
少子高齢化が深刻化する日本にとって、内需の大幅な拡大は期待できない。TPP参加により、「疲弊した」経済が成長の動力を手にすることができる。参加国・地域は原則的に、関税を互いに撤廃するからだ。アジアの新興国などは大きな需要を持ち、日本の輸出拡大にとって極めて有利だ。
安倍政権は米国主導のTPP交渉に参加した。これは経済的な決定であるだけでなく、政治的な決定でもある。TPPは単なる経済協定ではなく、経済・政治・外交・安保を一身に集める総合的な地域協力枠組みだ。
南京大学国際関係研究院の朱鋒院長は「安倍首相がTPPという政治決定を推すのは、米国のアジア太平洋における政治・経済政策にさらに足並みを揃えるためであり、また米日政治・軍事同盟をさらに強化するための重要なステップでもある」と分析した。
安倍首相は23日の衆院本会議で質問を受けた際に、腰を据えて理解を求めると述べ、また米国側に協定発効を促すよう呼びかけ続ける意向を示した。ジャパンタイムズは、安倍政権が「満面の笑み」でトランプ政権に探りを入れていると論じた。しかしトランプ大統領は安倍首相の誠意を見て見ぬふりし、顔を立てようとしていない。トランプ大統領は就任3日後、各国首脳との会談を決定した。アジア最大の同盟国である日本の安倍首相は、まだ指名されていない。
朱氏は「米国がTPP離脱を決定したが、これは安倍首相にとって経済政策的にも政治政策的にも痛手となっている。米国のTPP離脱は一つの決定であり、答案ではない。トランプ大統領は今後、日本との二国間貿易交渉に加わり、多国間のTPPを二国間のTPPにする可能性がある。これについては、今後の経過を見守る必要がある」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年1月25日