日本の安倍晋三首相は10日訪米し、米国のドナルド・トランプ大統領と会談する。安倍首相は大統領選中にヒラリー氏とのみ会談し、トランプ大統領は選挙後に安倍首相を冷遇した。そのため両国の首脳会談は、安倍首相の悩みのタネになっている。ホワイトハウスが会談を何度も延期したため、日本は英国とメキシコの後になり、「軽視」されたかのようだ。しかし今回はチャンスをつかみ、トランプ氏と「メシ」を食い、「兄弟の契り」を結び、腹を割って見せ、報告を行うことができれば、訪米の価値もあるというところか。 戦略研究界では、今回の首脳会談では次の内容が焦点になるとされている。日本が「安全の生命線」とする日米同盟の位置づけ、在日米軍の経費負担をめぐる駆け引き。アジア太平洋の安全・経済貿易情勢の変化、特にTPP座礁による地域貿易の変化。海洋権益をめぐる中国の戦略、東中国海・南中国海・台湾海峡情勢への共同対処。
日本は今世紀に入ると、中国への対策を講じ続けた。最終的に安全面で日米同盟に依存し、経済面で環太平洋経済連携協定(TPP)に依存する国策と方針を形成した。この戦略の2本柱により、米国と共にアジアに進出し、中国をけん制した。2013年末に発表された「国家安全保障戦略」は、日米同盟を「最も中心的な中長期安保政策指針」とした。安倍首相は今年1月の演説で「日米同盟こそが我が国の外交・安全保障政策の基軸であり、不変の原則だ」と大げさに称した。
しかしホワイトハウスの主が変わると、日本の国策と方針の貫徹に、越えがたき壁が生まれた。トランプは「米国第一」を主張しており、日本は米国の「インド太平洋」地政学的戦略が弱体化することを懸念している。オバマ政権が推進してきた「アジア太平洋リバランス」戦略とTPPが同時に中断されれば、日米同盟は「歴史の岐路」に立たされることになる。日本の外交は土台を失い、さらには反中同盟の崩壊が真実味を帯びてくる。
日本は日米同盟の「漂泊」をどうすることもできず、気を落としている。トランプの外交・安全政策は今日に至っても、依然として「未知数」だからだ。米国がアジア太平洋における地政学的戦略に、どれほど力を入れるかも「不明」だ。トランプは同盟国との関係を変えると繰り返し言及しており、在日米軍の経費負担拡大をどれほど本気で求めているのかも「不透明」だ。そのため安倍首相は今回の訪問を重視し、対米戦略の探りを入れ、戦略の手の内を見せるという2つの目的を持っている。アジア進出の戦略は維持される。
日本の対米外交と対アジア外交はセットになっている。安倍首相は新年早々、休むことなく東南アジアを歴訪した。これはフィリピンの外交の変化による、ドミノ倒しの効果を防ぐためだ。至る所で「中国の脅威」と海洋の秩序を大げさに誇張し、トランプ政権にアジア太平洋の戦略の舞台を軽視しないよう促した。次に東南アジアでのバラマキ外交により、自身の政治的存在感を高めようとした。日本にも風を呼び雨を呼ぶ神通力があり、米国の中国けん制に協力できることを見せつけた。
歴史を振り返ると、戦後の70年以上に渡る日米関係の摩擦で、日本が穏便に済ませようとカネを出さなかったことはあるだろうか?日本が毎年負担している米軍経費は、数十億ドルにのぼる。トランプ政権は値上げを口にし、米軍経費の負担拡大と、日米との二国間自由貿易協定の交渉再開を求めているが、これは得をしようとしているからだ。日本の政界・経済界では、米国が作った溝は埋め難く、安倍首相が「すべての犠牲」を惜しまなくても、満足させることは難しいと懸念されている。「みかじめ料」を支払わず、「ヤクザ」に忠誠を誓わなければ、日米の摩擦を強め、政権の危機を迎えることになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年2月4日