安倍首相が訪米し、トランプ大統領と親密ぶりをアピールし、一定の収穫を手にした。しかしその間、中国は意外にも最大の主役になった。会談では中国が何度も言及され、双方は中国との交流の「地ならし」をする意図を示した。親密ぶりも中国に見せつけるかのようだった。だが中国への態度をめぐり、米日の「同床異夢」が浮き彫りになり、注目を集めている。
米国を利用し中国をけん制しようとする日本の考えは単純かつ直接的で分かりやすい。日本は近年、事の大小に関わらず(直接的な領土・領海、歴史問題、東アジアでの覇権争い、TPP、南中国海、朝鮮半島、ロシア、ASEAN、アフリカ、さらには米日の交流など)、中国を問題視しようしている。「中国に必ず反対」は、日本で慣例化している。
10日の米日首脳会談で、安倍首相から指示を受けた日本の記者は、トランプ大統領に対して「中国の脅威に対して、米国はどうするか」と質問した。しかしトランプ大統領は即答せず、「中米友好は日本の利益にもなる」と述べた。
中米両国は早くから安定的な構造を打ち立てている。一部の溝や食い違いが存在し、これをすり合わせるためには長い時間と多くの精力・忍耐力が必要だ。しかし両国はバランスを維持し、争うことよりも相互に依存し、誤解よりも信頼の方が上回っている。これらを基礎とする「新型大国関係」は、一時的な出来事や一部の人物により揺れ動くことはない。
米日は従属的な制度による世界唯一の大国関係だ。「宗主国」に似た米国で重大な政策調整(特にトランプ大統領の「同盟国の利益よりも米国優先」「政治的安全よりも経済貿易を優先」「多国間枠組みよりも二国間枠組みを優先」という政権運営理念)が生じると、日本の発展目標に衝撃が及ぶ。これに連動するようにして影響が生じることを懸念するのも当然だ。
例えばトランプ大統領のTPP離脱は、大きな変化だ。トランプ大統領は多国間協力枠組みに余り興味が無いようで、二国間を強化しようとしている。これほど重要な政策調整により最も大きな影響をこうむるのは、中国でもロシアでもなく日本だ。日本はこれまで、米国の覇権、多国間枠組み・メカニズムを利用し、地域内で自国の発言権を高めることに大きな期待を寄せていた。しかし今やトランプ大統領は、日本の構想を打ち砕いた。
日本が米国の利益の範囲外で単独行動できるかは、日米関係の特殊性によって決まる。日米関係は極めて稀な、ほぼ唯一の制度的従属関係だ。英国も米国の弟分だが、両国間にこのような制度はない。米日間のこの従属関係は、戦後70年以上に渡るすり合わせにより生まれた構造だ。日本は政治的にも軍事的にも、米国の影響力により自国の影響力を高めなければならない。日本は米国の車に便乗し、自国の政治目的を実現しようとしている。そのため日本は現在、米国から独立し行動するつもりはなく、また独立する術もない。
トランプ大統領が国内外の圧力に直面していることから、対中政策で実務的な道を歩む可能性がある。これは当然ながら、積極的なシグナルだ。日本は珍しくも、米国から政治・経済面の圧力を受けている。日本は中国やロシアよりも、大きな圧力を感じているほどだ。昨年以来、フィリピンが方針を急転換し、韓国で政変が生じ、ロシアが強硬になり、英国がEUから離脱し、米大統領選が意外な結果に終わった。日本は立て続けに失敗し、自国の内政・外交の損失を見直し、別の方針を模索せざるを得なくなった。これは中国に得難い歴史的チャンスをもたらす。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年2月16日