福島原発から一キロの現場を取材(二)「長生きしたのが悪いと我々を責めるのではないか」

福島原発から一キロの現場を取材(二)「長生きしたのが悪いと我々を責めるのではないか」。 原発からいわき市に戻る途中、大熊町役場の建物を通りかかった。今では扉は固く閉ざされ、雑草が生い茂っている。外壁に描かれた2匹の熊は今も、故郷の特産を熱心に宣伝している。大きな熊は稲穂を、小さな熊はグレープフルーツを持っている…

タグ: 福島 原発 取材 

発信時間: 2017-02-27 11:08:02 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

まもなくやって来る3月11日は、東日本大震災から6年の記念日にあたる。この災害がもたらした傷は今になってもふさがってはいない。何万人もの日本人が親しい人を失い、故郷を離れなければならなかっただけではない。福島第一原発の放射能漏れ事故という、これからも長期にわたって直面しなければならない禍の種を植えてしまったのである。それから6年が経過し、日本政府は現在、「福島は非常に安全だ」と繰り返している。彼らは言うには、原発から半径80キロ以内の放射線量は去年10月までに、71%低下した。福島県福島市の大気の放射線量はロンドンと同等で、特に問題はない。だが日本のメディアからは、これとはまるで食い違う情報も出て来る。

原子炉格納容器内でロボットが相次いで“犠牲”になった。駐日外国公館の一部は警告を発している。こうした状況の下、人々はこう問わざるを得ない。日本政府の言っていることは果たして信じられるのか。日本には「前科」もある。東電はかつて真相を隠していた。日本がどれだけの放射性汚染水を海に放出したか、今になっても誰もわからない。環球時報記者はこのほど、こうした多くの疑問を抱いて福島県を徹底取材し、真相に迫った。

1.皮膚はかゆく、喉は渇き、肺にも違和感

2.「数年経って何か起こっても、長生きしたのが悪いと我々を責めるのではないか」

原発からいわき市に戻る途中、大熊町役場の建物を通りかかった。今では扉は固く閉ざされ、雑草が生い茂っている。外壁に描かれた2匹の熊は今も、故郷の特産を熱心に宣伝している。大きな熊は稲穂を、小さな熊はグレープフルーツを持っている。原発事故後、町役場はいわき市に移った。住民も一緒に、いわき市に建てられた仮設住宅に移った。

いわき市の福島県水産会館近くにある仮設住宅エリア。木造平屋の住宅1棟に2世帯ずつが住んでいる。かなり簡易な建物という印象を受けた。タクシー運転手の米々沢氏によると、木造のこうした家屋はましな方で、仮設住宅の多くは組み立て式のプレハブで、住むのがもっと大変なのだという。

五十嵐さん(女性)は地震発生から4カ月後、この7.4平米の住宅に一家四人で越して来た。「家が小さいのは6年もいれば慣れるが、一番大きな問題は水だ」と語る。一家は生活用水の多くを、大型容器のミネラルウォーターでまかなってきた。「飲むのも、食事に使うのも、全部ミネラルウォーター。学校の水が清潔かも心配なので、子どもには毎日水を持たせている」。入浴はどうするのだろうか。五十嵐さんは、「今の水の使い方だけでもかなりのお金がっかるので、入浴にまでは使えない」と不本意な様子。食品は心配ないか。「政府は、流通している食品はすべて検査済みだと言っている。ここに住んでいる限り、それを信じるしかない」

今年70歳の松川さん(女性)は、現在の生活について、目に涙を浮かべながら、福島なまりの日本語でつぶやいた。「安倍政権は私たちに、問題を早期にしっかりと解決し、私たちが早く家に帰れるようにすると約束した。でもいつまでも問題続きで、投入されたロボットも壊れてしまったという。年は取っているがぼけてはいない。毎日ニュースを読んでいるからわかる」。現在の生活に松川は不満を持っている。彼女にあてがわれた住居は工業用地に属しており、近くで買い物もできない。バスは一時間に一本で、直通でもない。現地産を食べるのは避けているのではないかと尋ねた。「毎週、ほかの人の車に便乗して食べ物の買い出しに行けるだけでありがたく、産地にかまっている余裕はない」

70歳に近い堀本老人は語った。政府はいつも、現在の放射線量は人体に影響はないと強調している。だが「見ることも触ることもできず、影響もすぐには表れない。数年経って本当に何かが起こっても、政府は、長生きしたのが悪いと我々を責めるのではないか。県は、18歳以下の若者には甲状腺がんの検査をしたというが、我々のような老人は誰も相手にしない」

3.「見捨てられ」た農民 「精神的な苦痛」味わう漁師

4.甲状腺がんが多発している? どう解釈するか

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年2月27日

TwitterFacebookを加えれば、チャイナネットと交流することができます。
中国網アプリをダンロード

日本人フルタイムスタッフ募集    中国人編集者募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで
 

コメント

コメント数:0最新コメント

コメントはまだありません。