日本の赤間二郎総務副大臣(現職)は「多彩日本」のPRを目的とし、台湾を「公式訪問」した。1972年の「断交」後、現職の高官が台湾を訪問するのは初。
今回は日本側が自ら高官のクラスを大幅に格上げし、事前に公式サイトで発表した。安倍政権が今年1月、対台湾窓口機関である「交流協会」を「日本台湾交流協会」に名称変更したことを受け、蔡英文氏の当局は3月に台湾「外交部」が運営する対日窓口機関「亜東関係協会」を「台湾日本関係協会」に名称変更した。このことから中日関係の膠着状態、安倍首相の中国けん制戦略が続く状況下、日本が台湾との実質的な関係を密かに推進するのではなく、「台湾のカード」を積極的かつ公然と切り出していることが分かる。
1972年の中日国交正常化以来、日本の対台湾政策は中日の4つの政治文書が定めた中国の枠組み内に限定されていた。日本との交流と対話において、中国の学者は日本の政界・学界が「日本は72年体制下の一つの中国という政策を遵守し、台湾の民間との関係を維持している」と口にするのを耳にしていたが、事実はそれほど単純ではない。
日本は台湾と「外交」関係を持たないが、台湾との「公式接触」を続け、一つの中国という政策の基礎を蝕んできた。馬英九時代の「親日」政策が徹底的ではないと判断しても、日本は台湾との公的な関係の推進に全力を尽くしていた。さらには海峡両岸の釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題における日本への共同対処を打破するため、2013年に台湾当局と公権力的性質の明らかな漁業協定に調印した。台湾を籠絡するため、安倍政権は経済協力協定を打ち出し、台湾と投資・租税・電子商取引などの協定を結び、「積み木」を積むようにして「日台FTA」を構築した。馬英九時代に、台日が調印した協定と覚書の数は両岸を上回るほどで、「台日の特別なパートナーシップ」を大幅に強化した。
中日関係は近年、緊張情勢に陥っている。日本国内の右翼勢力は早くから、一つの中国という制限を設けるべきではなく、「中国側の感情に配慮する必要はない」と叫んでいる。日本版の「台湾関係法」を制定し、日台の軍事安全関係を強化すべきだと騒いでいる。馬英九氏が日本との協力に慎重だったとするならば、民進党が2016年に政権を取ったことで、日本が「台湾のカード」を切り出すため新たな条件が備わった。日本側は、民進党には生まれつき「反中」の遺伝子があり、双方の「共同の利益」がさらに拡大すると判断した。蔡英文氏は政権運営後、「親日」路線を歩み続け、「台日運命共同体」を掲げ、さらには「台湾と日本は苦楽を共にする夫婦の関係だ」と述べた。民進党は日本に対して、集団で歩み寄る姿勢を示している。日台には、双方の実質的な関係を強化する強い意向がある。
未来の日台関係は、次のような変化を示すかもしれない。日本は台湾との交流、特に公式交流でさまざまな「異例」を作り続け、これを積み重ねることで「慣例」とし、日台の実質的な関係の上限を打破し続け、中国の台湾問題に関する我慢の限界に探りを入れる。蔡英文氏の当局は日本の台湾政策の変化を利用し、安倍政権から民進党政権への支持を受けることで、中国大陸部への経済的依存を弱める。
赤間氏の訪台は、民進党の台日関係への新たな憶測を促した。しかし台湾は対日関係で常に受動的な立場であり、日本の国益がそのまま自動的に台湾の利益になるわけではない。釣魚島、慰安婦、沖ノ鳥礁などの問題において、台日の溝は埋めがたい。蔡氏の当局が日本に盲目的に媚を売り、重大な権益をめぐり譲歩すれば、政権の基盤の弱体化を早めるだけだ。(筆者:汪曙申中国社会科学院台湾研究所台米室副主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年3月27日