日本がフィリピン海軍に貸与する海上自衛隊の練習機「TC-90」2機の引き渡し式典が27日、首都マニラ近郊のカビテ州サングレーポイント海軍基地で行われた。両政府は昨年2月、防衛装備品・技術移転に関する協定に署名しており、自衛隊機が他国に貸与されるのは初めてだ。海外メディアが伝えた。
共同通信は27日「中国が南中国海の軍事拠点化を進める中、装備が老朽化しているフィリピン軍の警備能力向上を支援する狙いがある。貸与は南中国海の領有権問題で中国と対立していたアキノ前政権時に合意したが、ドゥテルテ大統領は親中的な姿勢を取っており、中国けん制につながるかは不透明だ」と報じた。
日本メディアによると、式典に出席した若宮健嗣防衛副大臣は「フィリピンは戦略的なパートナー。TC-90の移転は地域の平和と安定に資する。今後も惜しみない支援をしたい」とあいさつした。ロレンザーナ国防相は謝意を示した。
TC-90の航続距離は約2000キロで、フィリピン海軍の航空機の約2倍。今年度中にさらに3機貸与する。今回の2機は徳島航空基地(徳島県松茂町)から出発し、27日にサングレーポイント海軍基地に到着した。フィリピン海軍のパイロット2人が昨年11月より、徳島航空基地で操縦訓練を受けていた。
ドイチェ・ヴェレ(電子版)は27日、「フィリピン国防省が発表した情報によると、フィリピン海軍は同機を借りるため、日本側に毎年2万8000ドルを支払うことになる」と伝えた。
ドイツメディアは「現職のドゥテルテ大統領が就任すると、フィリピンは中国との関係改善を求めてきた。アキノ前大統領の時期に、両国関係は南中国海の主権を巡る係争で悪化した。今回の訓練機貸与に関する協定は、アキノ政権が署名した」と報じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年3月28日