安倍首相夫妻はこのほど、右翼教育機関・森友学園の土地取得に便宜を図り、さらには寄付を行ったという2つのスキャンダルに巻き込まれている。実際には安倍首相もしくは夫人によるこの教育機関への寄付は、それが右翼であろうと問題ではない。問題は土地取得に協力した容疑にある。これは明らかに職権濫用であり、事実であれば首相の座を維持できないばかりか、自民党総裁の職を辞することになり、謝罪しさらには懲役を言い渡される可能性もある。
この2つのスキャンダルには因果関係があるため、安倍夫妻は寄付を必死に否定することでこの右翼組織との関係を否定している。こうすれば森友学園の土地取得に便宜を図っていないという言い分に説得力が生まれる。
問題は森友学園側が夫人から寄付を受け取ったと言い張っており、野党も安倍首相の弱みを握り、集中砲火を浴びせていることだ。客観的に言えば、論理的・法的にこの2つのスキャンダルを調査し、明らかにすることは難しくない。朴槿恵前大統領の友人による国政介入問題と比べれば、安倍夫妻のスキャンダルに関する証拠ははっきりしているようだ。
安倍首相が政治のスキャンダルに陥っているのは、政治の驕りが原因だ。安倍首相は再任後、戦後日本で任期が最長の首相となっている。これは戦後日本でころころ変わった政権と比べれば、余りにも優秀だ。権力とは良きもので、これに未練を持つことで権力への畏敬を失い、知らぬ間に権力を個人のために用いてしまう。
安倍首相もこの権力という諸刃の剣をうまく使うことができなかった。長命首相の誘惑により、自民党は安倍首相の任期を延長するため党則を改正した。安倍首相は3回目の総裁選出馬が可能になり、再び当選すれば首相を続けることになる。戦前の桂太郎元首相を抜き、任期が最長の首相になる可能性もある。
すべてが順調だったが、突如2つのスキャンダルが発生した。これは偶然でもあり必然でもある。長命首相になり、有頂天になったのだ。日本を利用し中国をけん制しようとするオバマ政権の意向により、米国と日本の政治・軍事同盟が強化された。オバマ政権は安倍首相が歴史問題で間違いを続けるのを放任し、日本が改憲により日本を「正常な国」にすることを奨励した。西太平洋で、米国のアジア太平洋戦略の駒にさせようとした。