国内外のメディアは先ほど、日本が陸上配備型イージス「イージス・アショア」の導入を検討中という情報を伝えた。陸上イージスの迎撃範囲と能力は、日本が導入を検討している終末高高度ミサイル迎撃システム「THAAD」をはるかに上回るため、この動きは各界から強く懸念されている。取材に応じた中国の軍事専門家は「陸上イージスは最近になり現れた選択肢ではなく、日本はすでに長くこれを検討している。しかし軍事的な面から見ると、陸上イージスは日本にとって賢明な選択ではない」と指摘した。
この専門家によると、日本は陸上イージスとTHAADという2種類の陸上ミサイル迎撃システムの導入を、2014年から検討している。記者も最近の陸上イージスに関する記事を調べたが、これが最終決定でないことは明らかだ。例えば共同通信によると、既存のイージス艦やPAC3を除く新たな防衛措置として、日本政府は陸上イージスの導入を優先的に検討している。またイージス艦に搭載されているSM3と高性能レーダーを陸上に配備することで、24時間の警戒任務が容易になるという。同専門家は、次のように指摘した。
日本がミサイル迎撃システムにより中朝の弾道ミサイルに対応しようとするならば、本土の陸上イージスは良い選択肢ではない。陸上イージスの性能がTHAADを上回るとされているのは、PAC3の迎撃高度が高く、範囲が広いからだ。例えばSM3ブロックIBと、日米が共同開発中のSM3ブロックⅡAの最大迎撃高度は、前者が600キロ以上、後者が1000キロ以上、最大迎撃距離は前者が1200キロ以上、後者が2000キロ以上と見られる。前者は近中距離弾道ミサイルを迎撃できる。後者はより先進的で大型のキネティック弾頭を持ち、中長距離弾道ミサイルを迎撃できる。未来のSM3ブロックⅡBは長距離・大陸間弾道ミサイルを迎撃する能力を持つ。この紙上の性能は、THAAD(最大迎撃距離は約200キロ、最大迎撃高度は約180キロ)を大きく上回る。しかしTHAADは地域内の終末ミサイル迎撃システムであり、SM3にはない性能を持つ。THAADは大気圏の内外で迎撃でき、最小30キロの高度でも迎撃可能だ。SM3の場合はこれが100キロを超える。
中高度ミサイル迎撃システムである陸上イージス(SM3)は、100キロ以上の高度を飛行中のミサイルを迎撃することしかできない。仮に陸上に配備し、朝鮮が日本に向けて弾道ミサイルを発射した場合、その際には着弾前もしくは飛行の後半の段階に入っている。陸上イージスによる迎撃の効果は、イージス艦に及ばない可能性がある。実際に陸上イージスの任務は、海上自衛隊のイージス艦「こんごう」「あたご」に依存しなければならない。これらのイージス艦はアップグレードにより、陸上イージスが持つ能力を手にすることができ、なおかつよりフレキシブルに配備できる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年5月16日