日本はこの数年に渡り、中国が設立を提案したアジアインフラ銀行(AIIB)への加盟に消極的だった。安倍政権にとって、AIIBは日本主導のアジア開発銀行(ADB)の競争関係であり、日本の地域インフラ融資などの既存の優位性を脅かす存在だ。
ところが今月15日に北京を訪れ、「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)国際協力サミットフォーラムに出席した自民党の二階俊博幹事長はメディアに対して、日本はAIIBに早期加入すべきだと述べた。「心の備えをして、遅れを取ってはならない」
二階氏は与党・自民党内のナンバーツーだ。折よくナンバーワンの安倍晋三首相も同日のインタビューで、同問題について「AIIBに関する疑問点が解消されれば、日本は前向きに加盟を検討する」と述べた。
地位が高く大きな権力を握る両氏がこれまでの異なる発言をしたことで、中日の各メディアは日本がついにAIIBに加盟すると解釈した。安倍首相の発言はあいまいで、政府内で伝えた情報とは相矛盾しているが、日本政府のAIIBに対する態度に緩みが生じたことは否定できない。
その原因については、一種の戦術的妥協と分析されている。今年は中日国交正常化45周年で、二階氏という知中派を通じ中国との緊張を緩和させようとした可能性がある。
他にも安倍政権がAIIB加盟に向け発した矛盾した情報は、念入りに計画された「二人芝居」と分析する声もある。二階氏が前向きな情報を伝え、対中関係の改善を求める党内の人物を満足させる。同時に麻生氏らに火消しをさせることで、党内の対中強硬派の立場に配慮すると同時に、これを駆け引きの駒とすることができるというのだ。
また安倍政権はAIIBが生む巨大な経済の利益を無視できない。設立から1年半に渡り、AIIBのメンバーは77カ国・地域に拡大しており、日本主導のADBを上回っている。G7のうち加盟していないのは、日本と米国のみとなっている。安倍政権は中国の発展のボーナスを手放したくない。
日本の経済界は事実上、自国のAIIB加入に期待している。経団連の榊原定征会長は先ほど、アジアのインフラ需要を満たすため、AIIBは効果的な金融職能を発揮することができるとし、日本政府に前向きな態度を示すよう求めた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年5月19日