憲法9条への自衛隊明記を掲げる安倍晋三首相による5月の憲法改正提案を踏まえ、公明党は7月中にも9条改正を巡る議論を始める方向で調整に入った。日本メディアが関係者の10日の話として、伝えた。
日本自衛隊の活動は、安全保障関連法など現行法の枠内にとどめる方向で意見集約する構え。自民党が年内の具体案作成を目指す中、自衛隊の活動拡大に踏み込まないようけん制する狙いがあり、今後の与党協議に影響しそうだ。
首相の改憲案は「戦争放棄」を規定した9条1項と「戦力の不保持」を定めた2項を維持した上で、自衛隊の存在を明記するとしており、必要な理念を加える「加憲」の公明党に配慮した内容となっている。
公明党としては、首相提案への賛否両論が党内にある状況で、9条論議を始めなければ自民党の具体案に対応できず、国会での改憲論議で主導権を握られかねないと判断した。自民党と日本維新の会の協力が進む展開への警戒感もある。
改憲を巡っては、与党が9条論議の着手で足並みをそろえることになるが、民進党など野党4党は「9条改悪」阻止への動きを強めると見られ、今後の国会論議がどこまで深まるかは見通せない。
関係者によると、公明党は首相提案に基づき、7月2日に投開票される東京都議会選挙後に党内で議論を予定している。一部議員が非公式の勉強会を開くか、党憲法調査会が検討を重ねる予定だ。
安倍首相が改憲を提案すると、公明党の北側一雄憲法調査会長は、現行の9条と「9条の2」という別条項を並立させる方がよいと述べ、今後の議論の焦点になりそうだと表明した。こうすれば9条の3項を追加するよりも、1・2項からなる現行の9条を守る態度を示せるというのだ。
しかしながら9条論議について、公明党の支持母体である宗教法人「創価学会」内では慎重な意見も多く、順調な議論の妨げになる可能性がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年6月12日