四川省成都市の男性・余澄さん(30)の本来のプロフィールは写真家。写真が大好きな余さんは写真家としての夢をかなえるため、2011年に写真の勉強をしに東京に渡り、今年でもう6年になる。しかし、余さんが予想もしていなかったのは、日本で「飯の種」となったのは、写真ではなく、四川の人にとってはごく普通の四川料理である「椒麻鶏(鶏肉の山椒ソースかけ)」であることだ。 (文:杜玉全。成都商報掲載)
SNSで椒麻鶏を宣伝し注文が殺到
ある日、余さんは友人と集まった時に、得意の椒麻鶏を振る舞った。元々辛いものをあまり食べない友人たちだったものの、椒麻鶏は大好評で、すぐに全部食べ切ってしまった。「ネットで売ったら、きっとたくさんの人が買ってくれるよ」。2015年秋に、友人にそのように勧められて、余さんが得意の椒麻鶏を微信(Wechat)のモーメンツや微博(ウェイボー)でPRするようになると、瞬く間に注文が殺到した。友人の提案がきっかけで、余さんは日本で写真とは別の分野で生計を立てることができるようになったのだ。
「僕は写真を勉強していたので、料理をする時も携帯を片手にその過程を記録する。友人たちがきっと売れると言ってくれたので、試しに始めて、現在まで続いている」と余さん。本場の味にするために、余さんは成都の家族に頼んで全ての調味料を日本へ送ってもらっている。
余さんは、「日本人はあまり辛いものを食べないので、椒麻鶏が売れるかは、初めは分からなかった」というものの、意外なことにすぐに注文が入るようになり、注文数も日に日に増えていった。そして、「初めは対応できたけど、だんだん作り切れない量になった」ため、売り始めて2週間後に、数量限定で販売するようになったという。
余さんの顧客は主に日本に留学している中国人の学生で、そこから少しずつ他の中国人にも広がっていった。そして、日本人や日本在住の外国人にも広まったといい、「僕のことを知っている中国人を通して買ってくれる日本人もたくさんいる。一番忙しい時は、1ヶ月前に予約しておかなければならない」という。