日本が密かにバランスシートを「縮小」しているかが、市場から注目されている。データによると、日銀の国債購入規模が昨年12月より減少を続け、今年5月の購入規模は8兆円を割り込み、2014年10月ぶりの低水準になった。このペースだと、今年の国債購入規模は目標の80兆円に遠く及ばぬ、55兆円まで縮小する可能性がある。市場では、日本が技術的に量的緩和から撤退していると分析されている。
日銀の黒田東彦総裁は否定し、物価2%の目標を実現するまで量的緩和から撤退することはないと表明した。しかし日本各界では懸念が深まり続けている。生命保険協会の根岸秋男会長は先ほど、いかに量的緩和から撤退すべきかを公の場で議論するべきで、日銀と市場の対話に期待すると表明した。国会議員の河野太郎氏は2%という物価目標を公然と疑問視し、日銀に量的緩和の早期撤退を呼びかけた。みずほ総合研究所は政府に対して、中央銀行と協力し日本版の撤退ロードマップを描くよう提案した。
日本のこの「日銀バランスシート依存症」は徐々に形成された。日銀は1999年に初めてゼロ金利政策を打ち出した。2001年に国債購入を開始し、「国債の貨幣化」により、市場に流動性を提供し続けた。2002年には購入目標を、商業銀行の手形に拡大した。こうして「バランスシート拡大」により市場に資本を注入し、日本のバブル経済解決後の後遺症を治療する重要な手段になった。この非伝統的な金融政策は、世界で初めて創出された。
初の量的緩和策が成功した重要な原因は、日銀が財政の紀律を守ったことだ。財政赤字の貨幣化を避けるため、明確な「銀行券の原則」を定めた。貨幣発行額は、中央銀行の国債購入額の上限となった。ところがこの原則は、黒田総裁が主導した2013年の超量的緩和策によって埋もれてしまった。これに代わったのは、国債の大規模購入によるマネタリーベースの供給量拡大だ。その結果、中央銀行のバランスシートが急速に「膨張」し、その国内総生産に占める割合は欧米を大幅に上回っている。
バランスシート膨張の危機は、財政危機に続き日本経済を脅かす時限爆弾になった。中央銀行の保有資産の平均利回りは0.317%のみで、短期金利がこの利回りを上回れば「逆ザヤ」が形成され、財務危機に陥る。また中央銀行の自己資本比率が低く、2016年末時点では7兆6000億円のみとなった。利益剰余金は320兆円に達し、財務リスクが急拡大している。日銀が保有する400兆円以上の国債の平均残存期間は、現在7年以上となっている。この状況下、日銀が量的緩和策から撤退するならば、長時間・高コスト・高難易度となる。
現在の世界において、ほぼすべての国がグローバル資本の自由な流動と為替変動による影響を受けている。各国の中央銀行は自国の経済状況のみに基づき、金融政策を調整しがたくなっている。連邦準備制度理事会のさらなる利上げ、年内のバランスシート縮小に際し、世界は金融政策正常化に戻るすう勢を示している。この流れは量的緩和策を続ける日本に大きな圧力を形成する。そのイールド・カーブの調整目標は、さらに大きなリスクに直面する。金利が制御を失えば、損失は数兆円規模になる。政府が資本注入を強いられれば、財政危機が激化し、さらに国の信用が損なわれるといった連鎖反応が引き起こされる。そのため2%の物価目標の実現がほぼ不可能な状況下、中央銀行は量的緩和の「ブレーキ」を強いられている。これは日銀の今後の重要な選択肢になるかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年7月22日