環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加11カ国の首席交渉官会合が12、13日の両日、神奈川県箱根町で開かれた。米国離脱を受け、いかにTPPを再発進させるかが議論された。
日本はTPPの早期発効を促進する熱意を示しているが、その他の参加国との間に大きな温度差がある。
アナリストは「日本は逆境のなかTPP早期発効を目指しており、一方的にアジア太平洋経済の主導権を握ろうとしていることが分かる。しかし米国不在のTPPは魅力が足りず、各国がTPPの発効を促進する最終目標は、米国を呼び戻すことになっている」と指摘した。
【各国の温度差】
今回の箱根会合では、具体的なルールについて議論されなかった。朝日新聞によると、日本は関税ルールなどの修正を最小範囲に留めることで収拾をつけようとしているが、これは非常に困難になる。
富士通総研経済研究所の金堅敏首席研究員は「利益をめぐる考えが異なるため、米国不在のTPPに対する11カ国の態度には大きな差がある。日本、豪州、NZ、メキシコなどの貿易自由化の程度の高い国は、TPPの発効促進を願っている。ベトナム、マレーシア、ペルー、チリがTPP交渉に参加した目的は、米国市場だった。今や米国が離脱し、消極的な態度になってる。ブルネイ、シンガポール、カナダは米国抜きでTPPを促進することで反感を抱かれることを懸念し、静観する姿勢を示している」と指摘した。
中国人民大学国家発展・戦略研究院の李巍研究員は「その他の交渉参加国には、日本のようなアジア太平洋経済のリーダーシップを目指そうとする能力も野心もなく、最も重視しているのは米国市場に進出し、経済の実益を手にすることだ。ところが今や日本の政治的な求心力は昔ほどではなくなっており、TPPを主導するのも難しいだろう」と分析した。
「多くの交渉参加国が当時、米国からの高基準を受け入れたのは、米国の大きな市場に進出するためだ。ところが米国が今や離脱しており、日本の言いなりになろうとする国がどれほどあるかは疑わしい。また中国は世界2位の経済体として、非常に積極的で有為な自由貿易区交渉を展開しており、アジア太平洋諸国はジレンマに陥るだろう」
【最終目標は米国】
交渉参加12カ国が合意した条件によると、TPP発効には6以上の参加国の批准が必要であり、それらの国の国内総生産は12カ国の85%以上に達しなければならない。米国だけでこの割合が60%以上のため、米国離脱によりTPPは当初の条件を満たし発効することができない。
各国代表は箱根会合で、発効条件の修正に同意し、米国などの意向を持つ国が発効後に加入することを認めた。金氏は「日本などの国がTPPの発効を促進し続ける主な目的は、TPPそのものにはなく、最終的に米国を連れ戻すことが目的だ。日本が関連規定を制定し、加入手続きを簡略化し、気が変わった米国に容易に加入させる可能性もある」と述べた。
李氏は「トランプ大統領は現在、ポピュリズムと保護主義政策により支持を得ているが、本人は間違いなくグローバル化の受益者であり、保護貿易主義を最後まで掲げ続けることはない。またTPPにより、中国のアジア太平洋における戦略的影響を弱めることには重大な意義があり、トランプ大統領が今後大幅に政策を調整する可能性もある」と分析した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年7月17日