【心の中で涙を流す】
「これは苦しみを訴え、涙を誘う映画ではない」
郭監督は「彼女たちの生活はとっくに平穏を取り戻している。長い目で見れば、彼女たちが毎日の生活で、恨みを抱き続けているわけではないことが分かる。彼女たちにはこの過去を消化する自分なりの方法がある。生き続けようとすれば、傷口をなめてばかりはいない」と語った。
『二十二』は観客に対して、痛みをいつまでも恨み続けるのではなく、片時も忘れてはならないこと、そして平穏こそが苦しみに対する力強い回答であることを教えてくれる。
郭監督が最も印象的だったのは、韋さんがこれほど苦しみながらも「この世は素晴らしい。私は今でも死にたくない、この世は美しい」と言ったことだ。
作品中の22人の高齢者は、今や残すところ9人のみとなった。1人がこの世を離れるたび、郭監督はスタッフロールの元慰安婦の名前を四角で囲む。しかし最近、亡くなる人が多く、囲むのも間に合わないほどだ。
郭監督は「この囲みをいつの日かすべて消し去り、当初彼女たちに会った時に戻り、カメラを前にした笑顔を思い出すかもしれない。まるで彼女たちがまだこの世にいるかのように」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年8月10日