今年は中日国交正常化45周年だ。中国経済を長期的に研究している日本財務省財務総合政策研究所副所長、国税庁税務大学校校長の田中修氏が「中日経済協力の現状及び展望」シンポジウムに出席し、中日経済・貿易の協力で推進すべき10大分野を掲げた。
この10大分野には▽資源・エネルギー・環境をめぐる協力▽生産性向上に伴う高コスト社会への対応▽伝染病の対応、医薬品の共同開発▽高齢化社会、人口減少社会への対応▽政策金融機関の設立▽住宅政策▽財政改革▽産業構造の調整▽国際金融分野の協力▽金融リスク対策――が含まれる。
田中氏の提言の要旨は下記の通り。
【高齢化社会に共同対応】
高齢化問題は、東アジアが共に直面している重要な課題だ。日本の学術界は2011年4月に発表した報告書の中で、高齢化問題をめぐり民間・地方・国という3つのレベルから提案を行った。報告書はこの3大項目の下に19の分野、34の中級プログラム、185のサブ課題を設定した。
これらは医学、生物学、心理学など各方面の課題を網羅しており、専門家・学者の参与が必要だ。可能であれば、私たちは中国と共に共同研究を展開し、それから共同研究の成果を東アジア社会にフィードバックすることを強く願っている。
【政策金融機関】
中国は目下、政策金融機関を設立し、中小・零細企業の資金調達の難題を解消する必要がある。
日本は高度経済成長の初期、中小企業の金融問題を非常に重視した。1949年設立の国民金融公庫、1953年設立の中小企業金融公庫は、中小企業の資金の需要に対応する政策金融機関だ。
純粋な民間資本銀行のみで中小企業の金融の需要を満たすのは、おそらく非常に困難だ。不足を補うため、この分野に特化した政策金融機関の設立が非常に重要だ。日本にはその十分な経験がある。日中は金融協力を通じ、中小企業の資金調達問題を早期解決すべきと考えている。
【産業構造の調整】
中国の供給側構造改革における重要な任務は、過剰生産能力の削減、ゾンビ企業の淘汰だ。1970年代前半から90年代中頃、特に1979年の第二次石油危機以降、日本は非常に厳しい構造調整の時期を迎えた。
通商産業省は1983年に「特定産業構造改善臨時措置法」を制定し、産業調整に必要な電気炉、アルミ、化学繊維、化学肥料、合金、紙、石油化学を特定産業に指定し、設備の処理を急ぐよう求めた。1987年には「産業構造転換円滑化臨時措置法」を制定し、特定事業者及び特定地域の構造転換に補助金を支給した。1995年にはさらに「特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法」を制定し、単一企業の経営革新に金融サポートを提供した。
上述した政策には成功と失敗があったが、日本の過去の経験と教訓は、中国の参考になる。
中国は不動産の在庫処分、不動産市場の健全な発展、デレバレッジなど数多くの問題で、日本経済のバブル崩壊後の経験を参考にできる。
中国経済の持続可能かつ健全な発展は、日本にとって大きな商機であり、東アジアの安定と発展を強く促す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年9月7日