日本の神戸製鋼によるデータ改ざんが最近大きな話題になっており、日本主流メディアの見出しを飾っている。全体的に見ると、今回の事件は「予想不可」「信じがたい」「前代未聞」などの言葉によって形容されている。これは本件の突発性と危険性を反映しており、戦後日本の経済発展における一大汚名かもしれない。より深く掘り下げて見ると、本件が日本企業と製造業全体の衰退を露呈していることが分かる。
まず、本件は日本企業が自主改革と発展の問題において、保守的になり革新を拒むという弊害を再び露呈した。同問題の際立った例である制度改革の遅れは近年、日本企業の発展を妨げる主要問題の一つになっている。例えば「年功序列制」と「終身雇用制」は戦後日本の企業管理モデルの象徴的な革新であり、戦後の高度経済成長期における日本企業の持続的な発展と進歩を促した制度的要素でもある。しかしながらバブル崩壊及び世界的な企業競争の激化により、これらの管理制度は多くの日本及び海外の学者から、日本企業の改革と革新を妨げる主な障害であり、日本経済の正常な回復を妨げる制度的な足かせとされた。日本企業は近年、全体的に経営難に陥り、管理面の制度改革が進められた。「年功序列制」と「終身雇用制」が徐々に放棄されるか、実施方法が改善されていった。しかし圧倒的多数の日本企業、特に「空母クラス」の大企業内で好転はなく、企業管理の制度改革は表面的な姿勢に留まり、利益を切り裂く重要なレベルにまで達していない。
次に、本件は日本製造業の全体的な競争力の低下という、現実的な苦境を再び反映した。周知の通り、長期間の資本投入と研究開発の蓄積により、日本企業は技術の高い競争力をつけた。しかしこの既存の優位性は「残高」に集中しており、日本企業は新たな成果を手にしていない。さらに周辺諸国と比べると、一部分野の技術競争力は、劣勢に転じている。ところが日本企業は「過去の遺産」を食いつぶす状態を続け、この遺産がますます減っているという客観的な現実を顧みようとしない。現在の日本は少子高齢化という現実的な問題に直面していることに注意が必要だ。労働力の減少と生産性の低下は、コスト拡大を直接引き起こす。これにより日本企業の競争の圧力が拡大し経営難が深刻化し、一部企業は衰退の流れを示している。
それから、本件は日本社会の信頼の基盤に疑問を突きつけ、これまでの社会的な各種不正事件の悪影響を浮き彫りにしている。「不正」は近年、日本企業との間に切り離せないつながりを持っている。東芝は不正会計問題により、大きな経済的損失を出した。三菱自動車は燃費データを改ざんし、環境保護基準を満たさない多くの自動車が市場に流通した。タカタは事故情報を隠蔽し、消費者の生命の安全を直接脅かした。さらに一部の飲食店は羊頭狗肉とばかりに、輸入食材を国産と偽り、大きな商業的利益を手にしている。これらの問題と比べ、本件が前代未聞の悪影響を及ぼしているのは、神戸製鋼が日本の鉄鋼業の「100年の老舗」であり、一部製品が日本及び国際市場で圧倒的な寡占の地位を占めているからだ。また鉄鋼製品は、その他の中間製品や完成品の基礎となる原材料だ。自動車、鉄道、航空、さらには軍需産業など国民経済と密接に関わる各産業に広く使用されており、ミクロ・マクロレベルで日本経済の発展に見積もりがたい損失をもたらす。さらに深刻なことに、本件の影響は広がり続けており、その潜在的な悪影響と経済損失については、確かな数値を示すことができないほどだ。
上述したように、「千丈の堤も蟻の穴より崩れる」だ。神戸製鋼のスキャンダルはメイド・イン・ジャパンの高い信頼と形なき価値を脅かしており、戦後日本がやっとのことで構築した社会的信用に影を落としている。信用は現代経済・社会の重要な一部であり、経済の文明の程度を示す主な物差しだ。市場競争が激化する時代背景のもと、信用は企業が経営を続けるための手段、方法になっている。日本企業を含むすべての経済主体は、これを十分に重視しなければならない。(筆者:陳友駿上海国際問題研究院副研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年10月17日