超大型の台風21号が猛威を振るうなか、日本の第48回衆院選の結果が出た。与党の自民党と公明党が3分の2以上の議席を占めた。安倍晋三首相は解散・総選挙という政治の「賭け」に成功した。
自民党が圧勝したが、幸運な一面もあり、「神風」が吹いたと言える。まず野党が選挙前に分散化し、連立与党が漁夫の利を手にした。次に日本の現行の選挙制度、低迷する投票率は客観的に見て、「組織戦」を展開する連立与党に有利だ。それから日本国民は首相選択よりも、政権安定を重視する。これは選挙前の世論調査で、安倍首相の続投に反対が高い割合を占めたが、自民党に引き続き政権を運営して欲しいという逆説が生まれた理由でもある。
今回の勝利は安倍首相個人にとって、大きな意義を持つかもしれない。これは安倍首相が自民党総裁を続投するための圧力が、大幅に軽減されたことを意味する。安倍首相が次の4年間に渡り政権運営を維持し、戦後日本で最も長寿な首相になることを意味する。また任期内に、憲法改正や自衛隊の存在の明記といった、政治の宿願を遂げる可能性を意味する。
しかし日本という国や国民にとって、安倍首相の今回の勝利は、生活の現状に大きな変化をもたらさない。連立与党はこれまでと同じ顔と勢力で、アベノミクスは中身を変えず続けられ、経済構造調整の力が不足している。日銀の量的緩和策の終了は遠い先のことで、財政状況が引き続き悪化する。少子高齢化問題がさらに深刻になり、軍事費の拡大で国民生活が圧迫され続ける。
周辺諸国と地域にとって、安倍首相が対外関係を調整するか、いかに調整するかは観察に値する。日本の新政府は米国のおまけとしてのカラーをさらに強めるのだろうか、それとも日本のアジアにおける地位を新たに見直し位置づけるのだろうか。領土主権、軍事・安全、歴史問題をめぐり中露韓朝などの周辺諸国と駆け引きを展開するのだろうか、それとも係争を棚上げにし緊張を和らげ未来を見据えるのだろうか。アジア太平洋の経済一体化、地域の平和と安定でプラスのエネルギーを発揮するのだろうか、それとも分裂、妨害、さらには挑発というマイナスのエネルギーを発揮し続けるのだろうか。「和をもって尊しとなす」「隣国と良き関係を構築する」というアジアの政治文明及び伝統に回帰するのだろうか、それとも「ゼロサムゲーム」「隣国を敵視する」冷戦思考の悪循環に陥り続けるのだろうか。
この駆け引きにおいて、中日関係は特に日本の新政府にとって、避けては通れない「要衝」だ。現在の世界は大きな発展・変革・調整という歴史的な時期を迎えている。同じアジア太平洋という世界の成長エンジンの中枢に位置する、世界2・3位の経済体である中日関係は、合すれば則ち共に利する。日本の政治家が自国の国民生活と地域の平和・安定を着眼点とするならば、どのような選択をすべきかは言わずと知れている。
今年は中日国交正常化45周年で、来年は中日平和友好条約締結40周年だ。日本の指導者は先ほど一部の場において、両国関係の改善の流れを強めたいという姿勢を示した。しかし日本側は歴史や領土などの問題で二転三転していることから、両国関係の改善の民意の基盤はまだ脆弱であり、政治的な相互信頼の育成が必要で、民心のつながりを拡大しなければならない。
中国の王毅外交部長が指摘したように、日本政府はより積極的な対中政策を推進し、双方の協力に資することをし、中日関係の前向きな交流を実現すべきだ。一歩進んで一歩下がる、もしくは一歩進んで二歩下がるであってはならない。
中国は今後一定期間に渡り、小康社会の全面的な建設の勝利を決める段階に入る。日本社会の構造改革も焦眉の急となっている。経済・貿易、投資、生態、高齢化などの分野において、中日の協力空間は世界経済の回復に伴い広がり続ける。日本の新政府が勝利の勢いに乗り、中日関係という大きな駆け引きにおいて波を立てるのではなく、風と勢いに乗ることを願う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年10月24日