メイド・イン・ジャパンの神話が近年、輝きを失っている。影響が広がり続ける神戸製鋼のデータ改ざん問題は、メイド・イン・ジャパンの神話崩壊の時期を早めている。
中国の鉄鋼メーカーは、特に神戸製鋼が最も重視する自動車分野でチャンスを迎えている。これは主に自動車業界の鉄鋼の需要で、最も現実的なのは自動車バルブスプリング用線材と高強度鋼板だ。中国鉄鋼業界の特殊鋼分野の現状は、全体的に見てまだ不十分だ。長年に渡り、「中国の鉄鋼生産量は世界一なのに、特殊鋼は輸入に大きく依存している」という問題が存在している。
近年の生産制限、過剰生産能力の解消の一部の目的は、国産鋼材の高級化にある。代表的な企業と製品を見ると、大きな進歩もあれば、不足もある。例えば自動車用鋼板などでは、中国国内の宝武鋼鉄がすでに大きな成果を手にしているが、一部の面には不足も存在している。
世界金属導報の「自動車用ばね鋼及びその生産技術の発展」(2017年6月6日)と題した記事によると、国内の複数の企業は自動車用ばね鋼で大きな成果を手にしている。例えば興澄特鋼が生産する自動車用ばね鋼、宝鋼が生産する自動車用ばね鋼線材は、すでに高い水準に達している。サスペンションばね鋼は、武鋼と宝鋼が生産力を持つが、品質では日本企業に及ばない。しかし「世界最高のバルブばね鋼を生産するのは神戸製鋼で、世界の約50%のシェアを占めている」ことから、国内の鉄鋼メーカーは進歩しているとはいえ、まだ長く苦しい任務が残されている。
神戸製鋼のデータ改ざん問題の影響が広がり、その将来性が極めて不明瞭になる状況下、国内鉄鋼メーカーは神戸製鋼の事業分野、特に自動車業界でチャンスを迎えている。このようなチャンスは得難いものだ。競合他社が致命的なミスを犯す可能性は低いからだ。中国の鉄鋼メーカーがこれを把握することを願う。(経済コラムニスト 姜伯静)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年10月24日