トランプ米大統領は13日、就任後初となるアジア歴訪を終えた。今回のアジア歴訪をめぐり、日本の政治学者で北東アジア問題専門家の藤生健氏は中国青年報のインタビューに応じた際に、未来の日米関係と東アジアの安保情勢などについて見解を示した。
「インド太平洋戦略」、異なる日米の認識
記者:インド太平洋戦略の主な目的と中身とは何か?これは「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)と摩擦するか、協力の余地はあるか。
藤生健氏:インド太平洋戦略について、日本と米国には認識の差が存在する。
日本政府がインド太平洋戦略を打ち出したのは、米国のアジアへの参与と干渉を維持・強化し、かつ豪州やインドと協力することで太平洋からインド洋に至るシーレーンを保護すると同時に、中国の勢力を封鎖するためだ。これは一種の冷戦的な対抗構造だ。米国、特にトランプ政権は安保面で、中国と雌雄を決するつもりはない。むしろ日豪印などを抱き込み、合従連衡でシーレーンを保護し、中国の独占的な支配を阻止しようとする守りの認識が強い。
記者:未来の日米関係はどのような形になるだろうか。
藤生健氏:米国は1990年代よりアジアへの干渉を弱め始めており、かつ日本政府に安保の自主性を高めるようたびたび要求している。ところが日本は真逆の方針をとった。つまり米国の国際戦略への貢献度を高め、米国との一体性を強め、米国と強いつながりを持つことで、アジアへの干渉を維持させようとした。これを証明するケースは多い。例えばイラクに陸上自衛隊を派遣し、インド洋に海上自衛隊を派遣するなどだ。
中国が今後さらに発展し、米国の衰退傾向がなお強まれば、米国はアジアからの(軍)撤退を真剣に検討するだろう。そうなれば日本政府は受動的な選択を迫られる。米国との安保一体化をさらに強化するか、安保をめぐる米国への寄与度を高めるか、それとも日米安保体制に代わる東アジア安保体制を構築するか。その一方で米国は日米同盟の維持を理由に、日本政府に米国の国際事業・経済・軍事への貢献をさらに強めるよう求めることになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年11月15日