皆さん、こんにちは。私は中国社会科学院日本研究所のものだ。楊ともうします。よろしくお願いします。きょうのテーマは「今年の中日関係を振り返り、来年を予想」。間もなく終わろうとしている2017年に、中日関係は好転を迎え、積極的な兆しが増えていると思う。それはたぶん次の三点から確認できると思う。
一点目は、両国首脳が会談を重ね、高官の交流が増えている。習近平国家主席は去る7月に安倍総理大臣と、まずドイツ、それから11月にベトナムで会談した。それから李克強総理も11月に、フィリピンで安倍首相と会談した。両国の首脳会談がこれほど多く開かれるのはたぶん2012年以来のことだと思う。
二点目は日本側が初めて「一帯一路」という構想、イニシアチブを前向きに評価し始め、その枠組で中国と協力したいと表明した。安倍首相は6月、東京で開かれた国際会議でスピーチを行い、同イニシアチブが「東洋と西洋、その間の多様な地域をつなげる潜在力を持っている」と述べ、初めて正式な場で前提条件付きではあるが、協力の意向を示しました。それに先立ち実は自民党の二階(幹)事長は5月、北京で開催された一帯一路国際協力サミットフォーラムにも出席しました。
三点目は各分野・部門の対話が全面的に再開されました。中日は6月と12月相次いで、いわゆる高級事務レベル海洋協議を開き、防衛部門の海空連絡メカニズムの構築と運用で積極的な進展を見せた。また第6回中日財相対話、第4回中日高級政治対話、第6回与党交流メカニズム会議、それから第15回中日安全対話などもあり、民間交流が活気づいた。もう一つ重要だと思うのは北京で開催される第13回「北京―東京フォーラム」において、双方が来年の平和友好条約締結40周年をきっかけとして、両国関係を安定的かつ健全的な実現の軌道に戻すためにコンセンサスを達成した。
中日関係の好転の根本的な理由は、なによりも協力が双方の共通利益に合致することであると思う。まさに「和すれば共に利する」ということだ。特に米国のトランプ大統領が就任すると、「米国ファースト」の政策を推進し、自由貿易体制とグローバルガバナンスに衝撃をもたらしました。トランプ政権はいわゆる「グループ離脱」運動を展開し、TPPだけではなくパリ協定、ユネスコ、移民・難民に関する国連宣言から離脱しました。さらにはNAFTAの交渉も再開し、通商法301条をちらつかせている。それにより中日両国は圧力がかかっているのではないかと思う。
中日関係は2017年を無事に終えられそうですが、2018年に安(定)的な改善・発展の軌道に順調に乗れるかどうかについては、まだ気が抜けないと思う。中国の立場らすると、最も懸念すべきだと思う問題は次2点あると思う。まずは日本の軍備の問題です。新安保法により、自衛隊の海外活動の権限が拡大を続けている。自民党安全保障調査会は去る6月、日本の防衛予算をNATO基準とし、GDPの2%前後まで引き上げるとしました。しかも安倍内閣は現在、長距離巡航ミサイル及び陸上配備型のミサイル防衛システムの導入を決定しました。安倍首相はさらに5年前倒しで、2018年下半期に防衛大綱を見直すことで、「自衛力」をさらに強化すると表明しました。
次に二点目はいわゆる改憲問題です。そもそも憲法の改正は日本の内政の問題ですが、しかし中日関係への影響は不可避だと思う。今年5月の憲法記念日に、安倍首相は2020年にいわゆる「新憲法」を施行し、「かつ第1項、第2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」ことを提案した。しかもこの主張はその後、自民党の選挙公約にも盛り込まれた。安倍総理は改憲を実現するため、2018年に国民投票を実施する可能性もあると思い、少なくともその可能性は排除できないと思う。ご静聴ありがとうございました。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年12月28日