中国への言行が不一致
アナリストは、安倍首相が今回の演説で、対中関係改善の意向を示したことに留意している。安倍首相は昨年下半期より、多くの公の場でこのような意向を示している。
安倍首相は演説で「本年は日中平和友好条約締結40周年という大きな節目に当たる。経済、文化、観光、スポーツ、あらゆるレベルで日中両国民の交流を飛躍的に強化する。ハイレベルな往来を深めることで、日中関係を新たな段階へと押し上げていく」と述べた。
安倍首相は「中国とも協力して、増大するアジアのインフラ需要に応えていく」と述べた。安倍首相はこれまで別の場でも、中国が提案する「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)について、個別のケースで協力を検討できると表明していた。
安倍首相は演説中、朝鮮問題を取り上げ、「日本は戦後、最も厳しい安保情勢に直面しており、防衛力と日米同盟の抑止力を強化していく」と発言した。
河野太郎外相も同日の外交演説で「新しい一年に、日本は日米同盟をさらに強化するほか、米国、韓国、豪州、インドなどの戦略的利益が一致する国との協力枠組みを強化する。さらに英国やフランスなどの欧州主要国との戦略対話を強化し、同盟国や友好国とのネットワーク構築を推進していく」と述べた。
アナリストは、日本はこのほど周辺諸国や英豪などの「準同盟国」を抱き込み安保協力を強化しているが、中国を念頭に置いていることは明らかだと判断した。
福井県立大学名誉教授の凌星光氏は「日本の経済界では、対中関係改善を訴える声が強い。安倍首相は今年、自民党総裁に再選するためにも、政治的な資本を蓄積する必要がある。さらに現在の国際情勢を考え、安倍首相は政策を調整し、対中関係改善に力を入れる必要性を認識した。しかし日本では現在、中国と競争し、両国関係の主導権を握ろうとする考えが、依然として主流になっている」と話した。
杏林大学教授の劉迪氏は「日本の外交は中等国に向け調整中で、同じく中等国である豪州などの国との協力を重視することで、日本の世界における役割を拡大できると判断している。日本は中国の政治の安定、技術革命の進歩を認め始めているが、中国が国際秩序の構築に参与することに懸念を抱いている」と指摘した。
孫崎氏は「安倍首相は長期政権運営を実現するため、外交面では米国に追随する必要がある。中米関係が今後どのように発展するかは、中日関係の発展を左右する重要な要素になる」と述べた。
纐纈氏は「中日関係を発展させるためには、双方が各分野・レベルで交流を深める必要がある。両国の相互理解は、アジア太平洋の平和と安定、経済発展にとって極めて重要だ。日本が各方面で独自の政策を打ち出し、全面的な関係改善の動きに出なければ、両国間で真の信頼関係を構築できないだろう」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年1月23日