日本放送協会(NHK)はこのほど、中国東北地方でひそかに人体実験を行い、細菌兵器を開発していたという日本の731部隊の醜い犯罪行為を明らかにするドキュメンタリーを再放送した。日本の専門家は、旧日本軍の中国侵略行為を暴いたNHKテレビの勇気を評価する一方、歴史の真実の再現に向けて日本が果たすべき責任は依然として重く、道のりは遠いと述べている。
日本731部隊問題の専門家である森正孝氏によると、日本の教育界とメディアは、戦争の歴史に触れる際、広島・長崎への原爆投下など被害を往々にして強調し、このドキュメンタリーのように旧日本軍による残忍な加害行為を明らかにした番組は数少ない。
森氏によると、日本政府に歩み寄っていると思われてきたNHKが、加害の歴史を直視できたということには大きな意義がある。NHKは昨年、『731部隊の真実』の前編を放送した後、右翼勢力の攻撃や嫌がらせにも屈服せず、さらに詳しく充実した続編を放送した。歴史に対する番組制作班の揺るぎない立場は尊敬に値する。
日本の平和活動家の山辺悠喜子氏は1941年、家族とともに中国にわたった。山辺氏は、戦争を体験した世代の一人として40年近くにわたり、日本731部隊の戦争犯罪行為を明らかにするために取り組みんできた。新華社記者の取材を受けた山辺氏はこの番組について、日本が認めたくない侵略の歴史における犯罪行為を社会に公に伝え、この時期の歴史を否定する人も含めた社会全体の注目を集めたと評価した。歴史をまったく知らない若い世代に映像の形で真実を伝えたという点はとりわけ評価に値する。
だがこれと同時に、専門家は、戦争の加害の歴史を歪曲・美化する日本政府の修正主義の歴史観は依然として主流を占めており、日本で歴史の真実を取り戻すという任務は依然として重く、その道のりは遠いとの見方を示している。
森正孝氏によると、第2次安倍政権の発足以来、歴史の真実の歪曲と美化の傾向はますます強まっている。安倍首相を支持する右翼団体は徐々に台頭し、メディアや教育界などの関連分野への影響力を拡大している。歴史教科書に書かれた加害の歴史にかかわる内容は減り、加害の歴史を示す展示品も歴史資料館から次々と撤去されている。若者が加害の歴史に触れ、それを知る機会は徐々に奪われつつあり、日本社会の歴史認識は危険な状態にあると言える。
森正孝氏は、最も基本的な歴史認識の軌道に戻らない限り、日本が隣国と真の信頼友好関係を築くことはなかなかできないと考えている。
山辺氏は、現在カギとなるのは、暴露された真実をいかに利用し、「戦争を賛美し、侵略行為を反省する気のまったくない」安倍政権に反撃を加えるか、またいかに真実を広く伝え、日本人全体の共通認識とするかということだと語る。現状から見れば、それは易しいこととはとても言えない。
東京大学の石井明名誉教授は、この番組は、証言録音などの歴史的な資料を通じて、病人を助けることを志していたはずの医師らがなぜ、細菌培養と人体実験の暗黒の淵へと向かっていったかを視聴者に伝えるものだと評価する。だが石井明教授によると、石井四郎ら元731部隊の隊員は当時、真っ先に日本に逃げ帰り、細菌開発のデータ資料を米軍に提供することで東京裁判の制裁を逃れ、さらにその多くが731部隊にいた過去を隠し、日本の医学界の大物となったという。日本医学界が731部隊さらには太平洋戦争といかにつながっていたのかという問題は、さらなる追及と暴露の必要な問題と言える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年1月29日