中国の若者における「孤独感」の深刻化を背景に、「孤独経済」が新たに登場し成長しているという。香港紙「南華早報」(電子版)が報じた。
写真家の凱莉・恵さん(26)は深センで60平方メートルのアパートにルームメイトと一緒に住んでいる。しかし、ルームメイトとはほとんど会話がないという。そんな凱莉さんにとっての一番の「友達」は、日本のスマホゲーム「旅かえる」のかえるだという。
凱莉さんは、中国の新しい消費者の代表的存在ともいえる。高等教育を受け、若く、消費には積極的だが、自分のためにお金を使うというのが新しい消費者の特徴だ。
1月に発表された報告「孤独経済」によると、「一人暮らしの若者」が中国経済の新たなテーマとなっているという。報告によると、一人暮らしの若者の多くは恋人がおらず、アパートに住んでおり、家族と親戚から遠く離れた都市に住んでいるのが特徴だ。中国の「孤独経済」の規模をはっきり表すデータは今のところ存在しないが、火鍋の店や娯楽機器メーカーなどの多くの企業が「一人暮らしの若者」をターゲットにして一儲けしようと試みている。例えば、ここ3年間、中国の都市では電話ボックスほどの大きさのミニカラオケが続々と登場している。ある統計データによると、現在、中国大陸部にはミニカラオケが少なくとも2万台あり、昨年、同市場は前年比93%増の31億8000万元(約540億円)規模に達し、今年はさらに120%増の70億元(約1190億円)規模にまで成長すると見込まれている。その他、「一人鍋」サービスを提供している火鍋チェーン店「呷哺呷哺(しゃぶしゃぶ)」の昨年の業績は、香港地区で上場している多くのレストランを上回り、株価も2倍に上昇したという。
浙江大学のマーク・グリフィン准教授は、「中国の若者は一つ上の世代に比べて、一人で楽しめる体験を好み、個性化されたサービスを追求する。これは技術によって生まれた現象といえるかもしれない。また、この特徴は他の国の同年代の若者と同じだ」と分析している。
北京理工大学の経済学者・胡星斗氏は、「中国の『孤独経済』は、日本を超える可能性がある。長期にわたって高齢化問題が深刻化しているのを背景に、文化的に人間関係が疎遠になり、日本では『孤独』がすでに常態化している」と指摘する。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年2月26日