その後「農村の宿」の話になり、児玉さんは、「長野のスキー場は有名で、ここ数年、長野周辺の農村の宿に泊まる人が増えている。16年前からうちは日本人客に泊まってもらうようになり、約10年前に外国人観光客も受け入れるようになった。中国人観光客に泊まってもらうようになったのは昨年からだ」と教えてくれた。児玉さんの家には、寝室が5部屋あり、応接間が2部屋あるため、12、13人が宿泊できる。それでも、1度に受け入れる宿泊客は5人以下といい、その理由について、「じっくり交流や体験を楽しんでもらうため」と話した。児玉さんが見せてくれた昨年の宿泊客のリストによると、137人が宿泊していた。ただ、「この仕事も楽ではない。70歳になったら、もう受け入れない」と児玉さん。
湖北省武漢市と上海から来た女性が、老干■(ラー油、■は女へんに馬)やオイスターソース、十三香(香辛料)など、中国を代表する調味料をプレゼントすると、児玉さんはじっくりとそれを見つめてから、感謝の言葉を述べ、「もっと長く泊まるなら、これらの調味料を使って中華料理を作るんだけど」と話した。
児玉さん家は木造の和風建築で、外の雪もまだ解けていないため、家の中はとても寒かった。2日目早朝、児玉さんは温度計を指しながら、「部屋の中はマイナス10度以下。寒いでしょう」と申し訳なさそうに話した。筆者らがバスで朝8時20分に出発する予定だったため、児玉さんは、早くご飯を食べて、荷物を片づけるように促し、「8時5分には食事を終えて、8時10分には玄関を出てお見送りをしなければ」と何度も繰り返した。児玉さんは時間にとてもきっちりしているのだ。別れの時間が訪れ、子供たちが日本語で感謝の言葉を述べると、児玉さんは玄関に座って手をついて「ありがとうごさいました、また来てください」と何度も言っていた。
バスの中で、農村の宿に宿泊した感想を話していると、「おじいさんがきっちりと計画をしてくれていた。誰かがお風呂に入っている時には、残りの人と一緒にトランプをしてくれたので、待っている時間も退屈じゃなかった」や「日本のトランプの遊び方も知ることができた。薪ストーブもとてもよかった」という声が上がっていた。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年3月2日