実際には、近年、法医学をテーマにしたドラマは少なくない。例えば、昨年、中国では「法医秦明(Dr.Qin)」が大ヒットした。「法医秦明」と比べると、「アンナチュラル」は、法医の仕事の内容にスポットをあまり当てておらず、血を伴う解剖シーンはほとんどない。同ドラマでは、真相が少しずつ明らかになるにつれ、各登場人物の人間性も浮き彫りになっていく。これまでの医療をテーマにしたドラマと違い、「アンナチュラル」は現実味があり、実際の社会問題を反映している。日本の業界関係者の間でも同ドラマは好評を博している。
法医学ミステリードラマである「アンナチュラル」の第1話では、35歳の高野島渡が自宅で突然死亡し、虚血性心疾患と判定される。しかし、UDIの調査で、致死率が非常に高いMERSコロナウイルス感染が原因であることが分かる。そして、高野島渡の同僚・敷島由果もMERS感染で亡くなる。出張先のサウジアラビアから帰国後に病院に検査に行った高野島渡は、パンデミックを持ち込んだとニュースショーなどで吊し上げられてしまう。しかし、UDIは、実際には大学病院での院内感染が原因で、高野島渡も被害者であることを突き止める。一見、何でもないようなストーリーに見えるが、「アンナチュラル」は二転三転するストーリーを通して、疑われるのはいつでも一般庶民で、威厳ある機関にその疑いの目が向けられることはないことを伝え、日本社会の心臓に触れている。
出演者の演技がうまく、ストーリーもドキドキする内容のほか、「アンナチュラル」は、中国の職場をテーマにしたドラマがなぜ面白くないかを教えてくれている。日本のドラマが中国のドラマと大きく異なるのは、毎回のストーリーが、職場以外の問題にも目を向けさせてくれる点だ。例えば、石原さとみ演じる三澄ミコトは、バイクの事故で亡くなった男性の死因が過労死であるかをはっきりさせるために、事故現場付近の2000個ものマンホールを調べ、傷跡が残されていないかを確かめる。また、溺死した女性が自殺なのか他殺なのかをはっきりさせるために、その女性の彼氏が葬儀場から盗んできた遺体を解剖する。これらは、法医学の範囲を超えた内容と言える。自分の仕事を責任を持って果たすために、ミコトは常識外れの行動をするほか、広い視野を持って難題を解決していく。日本のドラマの登場人物は自分のするべき仕事をはっきり分かっているのに対して、中国のドラマの多くでは、登場人物が働いてはいても、実際には仕事と関係のないことにほとんどスポットが当てられている。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年3月22日