インド太平洋戦略、日本の執念に要警戒

インド太平洋戦略、日本の執念に要警戒。

タグ:インド太平洋戦略

発信時間:2018-03-27 11:29:01 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 日本はインド洋沿岸国に熱を入れるようになった。河野太郎外相は年初、パキスタン、スリランカ、モルディブを歴訪し、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を積極的にアピールした。安倍首相は今月中旬に東京でスリランカのシリセーナ大統領と会談し、スリランカに円借款を供与し、さらに港湾や道路のインフラ整備、海洋安全保障などでサポートすることを約束した。日本がスリランカなどを重視したことで、これらの国のインド洋における交通要衝としての地政学的重要性が浮き彫りになっている。また日本が念入りに策定し積極的にアピールする、インド太平洋戦略の戦略的な意図が再び浮上している。

 

 トランプ米大統領は昨年訪日した際に、大統領として初めてインド太平洋という概念に言及した。これは安倍首相が2016年にケニアで掲げた、自由で開かれたインド太平洋戦略を代わりにアピールしたと見られている。

 

 日本が当時打ち出した概念は、このアジア・アフリカを結ぶ海上ルートを「発展と繁栄の大動脈」にするというものだった。対アフリカ投資を拡大し、アフリカやインド亜大陸のインド、スリランカ、モルディブなどとの新型関係を発展させ、東南アジアのインドネシア、フィリピン、ベトナムなどの国との伝統的な関係を強化する。トランプ大統領も現在、この概念を打ち出している。日本は当然ながら、インド太平洋戦略の政治・外交・地政学的意義が、米大統領の口を通じ拡大されることを喜んでいる。米日の推進は、日本が長年に渡り蓄積してきた資源を活用し、戦略的利益の最大化を図る上で重要な効果を発揮する。

 

 日本は思いつきでインド太平洋戦略に熱を上げているのではない。これは地政学的戦略、多国間外交、経済・貿易拡大などの多元的な要素に基づく戦略的な考えであり、行動でも外交と援助に力を注ぎ、コストを度外視し取り組みを拡大している。地政学的に見ると、インド太平洋は世界で最大の発展規模・チャンス・活力・潜在力を持つ、北東アジア・東南アジア・南アジアを網羅している。マラッカ海峡やペルシャ湾など世界の戦略的要衝を網羅し、かつ戦略的資源と大口資源が集中する中東とアフリカを連結する、避けては通れない道でもある。日本の石油輸入の9割以上が同地域を経由する。安全保障と航行の自由、インド太平洋における安全の利益の争奪及び地政学的影響力の拡大、中国が「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)を通じ拡大する影響力へのけん制。これは日本が東中国海と北東アジアにおける劣勢を挽回し、大地域戦略の駆け引きを展開するための必要な措置だ。

 

 多国間外交を見ると、日本が推進する積極的な平和主義外交にせよ、「地球儀を俯瞰する外交」にせよ、価値観に基づく「民主の弧」の構築にせよ、国連常任理事国入りを目指す安保理改革の推進にせよ、インド太平洋諸国の支持を得ることが極めて重要になってくる。

 

 経済・貿易拡大の角度から見ると、インド太平洋の人口は世界の過半数を占めており、貿易額の世界全体に占める割合は3分の2弱にのぼる。世界の大口商品の3分の1、海上輸送石油の3分の2がここを経由する。中国・インド経済の台頭、各自の地域戦略が、同地域を世界経済成長の新たなエンジンにしている。下り坂に入った日本は当然ながら、同地域の経済成長の巨大な潜在力の誘惑、これを利用し自国経済を発展させようとする渇望に勝つことができない。

 

 日本のインド太平洋戦略に対する力の入れようは、初期の計画を策定し理念を掲げ支持を働きかける段階のみならず、その後の米国を擁立した着実な推進からも伺い知ることができる。日本のたやすく諦めようとせず、大変な苦心をし元本割れしても諦めようとしない固執した性格を反映している。

 

 現在の効果を見る限り、日本が力強く働きかけ、米日印豪はインド太平洋戦略を軸とする協力の意向をほぼ取りまとめている。4カ国はそれぞれ腹積もりを持っているが、インド太平洋における戦略的利益を獲得し、中国の台頭に対応さらにはけん制するということでは、意見を一致させている。また日本はインドと「印日版一帯一路」と呼ばれる「自由の回廊」を構築し、インドの「東進戦略」と日本が力を入れるインド太平洋戦略を結びつけようとしている。インドネシアが中国との間で領有権の係争を抱える離島6島の開発を援助し、スリランカなどの南アジア諸国のインフラ整備の援助を拡大し、退役巡視船及び海上航空機を供与し、防衛訓練などの協力の頻度を上げ、最大の護衛艦「いずも」をASEAN10カ国に派遣する。日本はこれらの動きにより南アジア・東南アジア諸国との相互接続、海上安全及び海上巡行などの分野の協力を強化することで、地域の海上安全協力を主導し実質的な存在感と影響力を強めようとしている。さらにはアフリカ開発国際会議、太平洋・島サミット、日印及び日本・ASEANなどの二国間・多国間対話などの開催により、「インド太平洋の自由で開けた」理念をアピールし、海上の安全の脅威を誇張し、いわゆる「中国の脅威」を裏と表で言いふらしている。

 

 日本はインド太平洋で共通の戦略的認識と利益の訴求を形成しようとしているが、当然ながら多くの現実的な問題に直面している。しかし国民性を見ると、製造業大国の日本は改善を続ける匠の精神を持ち、地域通商及び戦略的利益に関する戦略構想の設計と推進においても粘り強さを示している。そのため我々は日本のインド太平洋戦略に対する執念を絶対に軽視できない。アジア太平洋の多くの通商戦略の発表が、日本による全力の働きかけによるものであることは、過去の例によっても証明済みだ(CPTPPの復活など)。日本のこれらの働きかけは地域の協力に一定の貢献をしているが、多くの「私心」が混ざっており、地域戦略を利用しライバルを包囲しけん制しようという大きな負のエネルギーが存在する。そのため我々は現実を目にし、事前に警戒を強めるべきであり、日本の戦略を軽視すべきではない。インド太平洋戦略が、まさにそうだ。(筆者・笪志剛 黒竜江省社会科学院北東アジア研究所長、研究員)



 「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年3月27日


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