スリランカのシリセナ大統領は10日から16日までインドと日本を続けて訪れ、インドのモディ首相と日本の安倍晋三首相と会談した。昨年4月には同国のウィクラマシンハ首相が訪日わずか9日後にインドを訪れ、投資やインフラ建設での協力などを話し合った。日程は偶然の一致の可能性もあるが、日印がここ数年、スリランカでの影響力拡大を共同ではかっていることは紛れもない事実だ。
日印の近年のスリランカでの協力は主に、インフラ建設と海洋安全の2つの分野に集中している。インフラ建設の協力で最も速く進展しているのはコロンボの液化天然ガス(LNG)発電プロジェクトだ。インドと日本、スリランカは8日、合弁企業を設立してLNGの輸入・貯蔵・発電一体化施設をコロンボ付近に共同建設するための了解覚書(MOU)を結んだ。合弁企業は、インドのPetronet LNG社が47.5%、日本の三菱商事と双日が37.5%、スリランカ政府が15%の株式を保有する。スリランカ初のLNG発電プロジェクトで、2021年に竣工する計画だ。
このプロジェクトのほか、日印はさらに、トリンコマリー港開発やコロンボ港の新コンテナふ頭などのプロジェクトでも協力を強化する。海洋安全での日印協力は、3カ国の海軍の連携強化が主な内容となる。日印の海上の訓練と演習にスリランカを招き、訓練の方式で3カ国の海軍士官の連携を強める。
日印がスリランカを協力の重点に選んだのは一時の思いつきではなく、両国ともに深いレベルの思惑がある。
第一に、スリランカは地理的に極めて重要な位置にある。日本の河野太郎外相は今年1月にスリランカを訪問した際、スリランカは日本の「自由で開かれたインド太平洋戦略」の「中核を担う国」だと公に発言している。スリランカの地理的な位置に対する日本の重視のほどがうかがえる。実際、日本の石油輸入の8割前後は、スリランカの南わずか10カイリのインド洋の主要航路を通過している。またインドにとってスリランカは、インド洋からインド亜大陸に入るための南の入り口となる。インド洋から輸送される貨物の大部分はコロンボ港で中継されてインド市場に入る。さらにインド洋の海上輸送のハブという立地も、米日印豪の「インド太平洋」戦略でスリランカが大きな役割を果たす理由となっている。