第二に、日印はスリランカでそれぞれの優位性による相互補完が可能である。インドは、南アジア地域全体に絶対的な地理的影響力を持つが、経済力に限りがあることから、南アジア地域のインフラ開発をしようと思ってもその余力がない。スリランカのハンバントタ港建設に対する投資を「商業的に成り立たない」として拒否したのはその良い例だ。インドの投資を得られなかったスリランカは、中国に投資を求めざるを得なかった。日本は資金の上では強みがある。安倍政権はすでに、2015年から2020年までにアジア開発銀行(ADB)と日本国際協力機構(JICA)を通じてアジア地域のインフラ建設に100億ドルを投資することを約束している。インドの地理的な影響力と日本の資金の結合で、両国は、スリランカでの影響力の急速な拡大に自信を強めている。
第三に、スリランカの国内情勢も日印の影響拡大に有利に働いている。内政面では、日印は、ラジャパクサ前政権よりも現政権の方が日印の投資を容易に受け入れると考えている。現政府が掲げる「バランス外交」政策も日印の利益に合致している。経済面では、スリランカ政権は現在、債務圧力の増大や貿易赤字の深刻化、物価の急速な上昇など一連の難題に直面しており、外からの投資によって経済成長を促す必要に迫られている。これも日印がスリランカで経済的な影響を拡大するのに絶好のチャンスを作り出した。
日印だけでなく、米国とオーストラリアもここ数年、スリランカとの協力を強化し、スリランカでの経済的な影響を拡大している。「インド太平洋戦略」がまだ固まっていないことから、スリランカがその中でいかなる役割を演じるのかはまだわからない。だがスリランカをめぐる大国の駆け引きが今後さらに複雑さを増し、競争がさらに激化することは間違いない。(文:王瑟 中国現代国際関係研究院南アジア・東南アジア・オセアニア研究所所属)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年3月27日