石田プロデューサーは、「これはわざわざそうした部分を紹介している。いくらすごい人であっても様々な困難な目に遭うもので、彼らがどん底から這い上がるプロセスが、視聴者の感銘や共感を呼ぶ。そうでなければ、視聴者の共感を呼ぶどころか、かえって距離感すら感じてしまうことになる」としている。
この12年間で「プロフェッショナル仕事の流儀」では、取り上げられる人は全て取り上げてきた。取材の対象となる人の選抜はますます難しくなってきているが、同番組では、「自薦お断り」という原則を常に守り続けている。石田プロデューサーは、その理由はいたって単純なことだと言い、「自薦するような人は『サービス精神旺盛な人』で、彼らはカメラの前に出た途端、普段は絶対しないようなことをやろうとするからだ。それは『やらせ』に過ぎない」と説明する。そのため、番組制作班は、インターネットや新聞、雑誌、人の紹介などさまざまな方法で、番組で取り上げることができるような業界のプロフェッショナルを探す。「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班のメンバーは十数人で、40日間の撮影作業と5週間の編集作業を経て、49分間の番組を最終的に完成させる。
「プロフェッショナル仕事の流儀」では、番組の中で要所ごとに必ず「トーン」という効果音と共に、画面に取り上げられたプロフェッショナルの仕事に対する姿勢や人生哲学が反映された「ひと言」が字幕で表示される。宮崎駿監督の回では、「トーン」の効果音の後、「感動は半径3メートル以内」というひと言が紹介されている。番組全体のまとめとなる「トーン」の効果音後の言葉選びはとりわけ難しく、制作班のメンバー全員は何度も話し合いを重ね、編集室で出来上がった作品を観ながら検討していくのだという。
そんな「トーン」の効果音後の「ひと言」の中でも、石田プロデューサーが特に気に入っていると話すのが将棋の羽生善治棋士の「才能とは、情熱や努力を継続できる力である」という言葉だ。小さい頃から、「天才棋士」と持てはやされてきた羽生棋士だがそんな本物の「天才」が実は「情熱や努力を継続できる力」を才能とみなしているとは思わなかったという。石田プロデューサーは、「最初は本当に驚いたが、今は、この言葉が私を励まし続けてくれている。『プロフェッショナル仕事の流儀』を観た視聴者が、各業界のプロフェッショナルたちから何かを学び取って、それを自分自身の力に変えてくれることを、心から望んでいる」とその思いを述べた。(編集KM)
「人民網日本語版」2018年4月17日