「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)への参加に意欲を示していた日本企業の多くが最近、これを実際の行動に移している。日本の指導者も積極的な姿勢を示している。日本が適切な手段により一帯一路の共同建設に参与することで、中日経済協力の新たな空間を切り開き、新たな成長源を作り出すことは明らかだ。中日両国企業の第3国市場における協力を促進することで、第3国の経済発展を促し、両国の経済・貿易協力の拡大を促すことができる。
日本の一帯一路への参与は、表面的には指導者の積極的な姿勢に見えるが、その裏で真の力を発揮しているのは歴史の法則だ。これは「脱亜入欧」から「返亜留欧」(アジアに戻り、欧州に留まる)への変化だ。
150年前の日本は明治維新により「脱亜入欧」を実行した。これはアジアが立ち遅れ、「入欧」により欧州の産業革命と科学技術革命に追いつく必要があったからだ(その結果、日本は科学技術のチャンスをつかんだが、政治的には道を誤った)。現在のアジアは世界経済発展の中心的な力になっており、世界経済のグローバル化の中でより重要な役割を演じるようになっている。一帯一路への参与は、日本がアジアに戻り、中国などとアジアの繁栄・発展を推進すべきであることへの理解を、日増しに深めていることを意味する。
また一帯一路により、中国・欧州、中露、中国・アジアの国際コンテナ輸送が列車による大規模な輸送を形成している。中欧班列(中国-欧州間の国際定期貨物列車)の運行数(往復)は2015年以降、毎月平均100本以上になっており、これに参与する日本企業が増えている。日本通運は中欧班列を利用し、日本・欧州間の中継輸送サービスを提供し、日本から欧州に貨物を届ける時間を大幅に短縮している。これは一帯一路が日本と欧州の連絡ルートを、より便利でスムーズにしていることを意味している。
中日両国の発展は自由貿易から利益を得ており、両国とも自由貿易を主張している。現在の世界は「脱グローバル化」「脱自由貿易」の逆流に直面している。日本が一帯一路に参与するのは、多国間自由貿易体制を守り、保護主義と一国主義に反対する中日両国に共通する主張を、具体的な行動に移すためだ。一帯一路への参与により、日本はユーラシア市場をさらに開拓できる。
日本の学者によると、日本経済には「一部の重要技術分野では成功を収めているが、市場を開拓できていない」という問題がある。日本が省エネ・環境保護、災害管理、インフラ整備、ハイテクなどの先進的な技術を経験を一帯一路沿線国と共有できれば、日本は自ずと「市場開拓の成功」を手にすることができる。一帯一路への参与は、日本が技術と市場の「ダブル成功」を実現するチャンスだ。
一帯一路沿線国は現在、インフラ整備に力を入れる必要がある。日本の経営者は「中国がまず道路と鉄道を敷設し、日本企業がこれらを利用しインフラ整備に参与する」と述べた。一帯一路への貢献には、前後の差はないと言うべきだ。日本企業は高品質インフラ整備の豊富な経験を持ち、中国などと共に一帯一路のインフラ整備を推進すれば、多くの商機を手にすることができる。また我々は一帯一路沿線国で「物的」インフラを整備するほか、「精神的」なインフラを整備しなければならない。一帯一路沿線国向けに、産業化・情報化の技能と管理人材を育成するため貢献する必要がある。
一帯一路の持続的な発展は、数百年に渡る「先進的な欧州、立ち遅れたアジア」という歴史的な隔たりを変え、「先進的な欧州、先進的なアジア」が互いに融合する新たな歴史を切り拓くことになる。日本の一部の政治家は、短期的かつ狭隘な地政学的見解・疑念を捨て、長期的な視野と大局観を持ち、ユーラシア大陸の自由貿易と繁栄・発展を促進する一帯一路という歴史的なチャンスを惜しみ、これをつかむべきだ。(筆者・馮昭奎 中国社会科学院栄誉学部委員、中国中日関係史学会顧問)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月10日