豪雨に弱い日本、公共インフラと「強靭な国土」に大きな開き

豪雨に弱い日本、公共インフラと「強靭な国土」に大きな開き。

タグ:豪雨 西日本

発信時間:2018-07-13 10:25:47 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 西日本は最近、頻繁に災害に見舞われている。6月の大阪地震に続き、7月には豪雨で洪水と土石流が猛威を振るっている。11日夜まで176人の死者が出ており、1982年の長崎大水害(299人が死亡)以降としては最大の水害となっている。


 「数十年に一度」と呼ばれる特大の豪雨であったが、高い減災能力で知られる日本がこれほど広範な災害に見舞われるとは意外であり、その原因についても深く考えさせられる。


 まず今回の災害は、日本の地方の公共インフラと「強靭な国土」との間に依然として大きな開きがあり、地震や洪水などの重大自然災害に耐える能力が不足していることを再び露呈した。特に日本各地の多くの橋、ダム、堤防、トンネル、公共建築物などは今から四半世紀以上も前の高度経済成長時代に作られたものであり、老朽化の問題が生じている。修理と更新が必要になっている。


 今回の災害で犠牲者が最も多かった広島県では、各地の山の斜面の表面が崩れ落ち、大規模な地すべりによって土石流が発生している。家屋が壊れ、埋もれている。日本メディアの報道によると、広島市北部では2014年にも類似する大規模な地すべりが発生した。広島市はその後、防砂堤の建設を開始したが、範囲が広く竣工する前に新たな災害が発生した。


 次に、資金不足で手が回らなくなっている。豪雨の水害への対策が遅れている深い原因には、資金不足がある。正確に言えば、対策に十分に資金を向けられなかったと言える。地方と都市部の格差を解消するため、日本は70年代後半から90年代後半にかけて「国土の維新」を行った。地方の公共事業を拡大し、政府の地方への財政投資を拡大した。公共事業予算は1978年の5兆5000億円から、1997年の9兆8000億円に膨らんだ。


 21世紀に入ると、日本の財政不均衡の圧力が急激に強まった。2002年に「小政府」を主張した小泉純一郎氏が首相に就任すると、公共事業予算の削減を開始した。その後の歴代政権もこの方針に追随し、巨額の国債と財政赤字の圧力を受け、公共事業予算を2012年には4兆6000億元に削減した。同じく「小政府」の立場でありながら「地方創生」を掲げる安倍晋三氏が首相に就任すると、近年の公共事業予算は6兆円前後で推移している。


 治水事業費も減少している。日本メディアの報道によると、日本政府の本年度の治水事業費は7961億円のみで、ピーク時の1997年度の1兆3700億円から大幅に減少している。国土交通省は各河川の状況に基づき、100年から200年に1度発生する降雨への対策を策定したが、現在まで対策が完了している河川はない。財政面の制約がその主因だ。


 それから人口の激減、高齢化の進行により、地方の重大自然災害に対応する能力が弱まっている。今回重傷を被った広島県と岡山県では、災害発生時の災害救援人員が不足しており、科学技術の手段を使える防災・減災人員が不足している。重大自然災害に耐える能力の不足により、人々が不安を募らせ中心都市に移動するという、悪循環が生じている。


 四国・愛媛県の怒和島には2015年にまだ住民が409人いたが、現在は300人余りとなっている。島の小学校は1校のみで、全校生徒数は6人、教員数は5人。島民は子供たちを怒和島の宝と呼んでいる。しかし今回の豪雨により、6人のうち2人姉妹の学童が、母と共に犠牲になった。「昨日はまだ生きていた」3人の命だけではなく、島民の故郷振興の希望も失われた。


 さらに、日本社会の豪雨・水害への重視の程度は、地震や津波などの自然災害に及ばない。日本メディアの報道によると、日本企業の豪雨対策は、その他の災害への対策よりも明らかに不足しているという。


 日本の今回の災害救援には、多くの見所があった。情報通信技術の運用、救助計画の想定、さらには近年構築に力を入れている、乱れはあるが効率的に救援物資を送り込める物流網などだ。これらの見所は教訓と共に、西日本の豪雨災害と災害救援の参考材料になっている。(筆者・胡俊凱 新華社東京分社副社長、高級編集者)



「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月13日

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