日本とEUは17日、経済連携協定(EPA)に署名した。17日付NYタイムズによると、同協定は世界最大の開放的な経済圏を構築する。世界の6億人、世界の国内総生産(GDP)の約3割、世界の貿易総額の4割をカバーする。米国が発動した貿易戦争により日本とEUが共感を持ち、トランプ大統領による保護貿易主義に共に対抗することになったという分析もある。
共同通信の17日の報道によると、日本の安倍晋三首相、欧州理事会のトゥスク議長、欧州委員会のユンケル委員長が首相官邸で協定に署名した。日本のコメを除くほぼすべての農林水産物が関税撤廃の対象となった。双方はさらに自動車などの工業製品の関税を段階的、または即時撤廃する。日本は昨年、米国、中国、スイス、ロシア、トルコに続き、EUにとって6番目の貿易相手国だった。双方の貿易総額は1294億ユーロ、EUの輸出額は604億ユーロ、日本の輸出額は688億ユーロにのぼる。日本政府は、日本とEUのEPAにより、日本のGDPが約1%成長し、かつ約29万人の雇用が創出されると見積もっている。日本政府は今秋の臨時国会で批准手続きを終え、EPAを来年3月までに発効させようとしている。日本とEUはさらに産業、貿易、経済のハイレベル対話を行い、年内に初の会合を開く。より緊密な関係を構築するため、日本とEUはさらに政治的・国際的問題の協力を定める戦略的パートナーシップ協定に署名した。
署名式前、日本とEUは首脳会議を開き、共同声明を発表した。EPA署名については「これは歴史的な一歩だ。保護主義に対抗する力強い姿勢を示した」と強調した。共同声明は、世界貿易機関(WTO)を中心とする多国間貿易体制が重要な力を発揮しているとし、自由貿易体制を守るため協力していくことを確認した。安倍氏は協定署名後の共同記者会見で「保護主義の懸念ムードが世界的に深刻化している。日本とEUが自由貿易体制の重要性をさらにアピールすることには重大な意義がある」と述べた。トゥスク氏は米国を直接批判し、「米国の保護貿易主義は世界経済のリスクファクターであり、米国は無責任だ。日本とEUは予測可能な、責任ある、ルール・自由・透明・共通認識を基礎とする世界の秩序を守る」と述べた。
AFP通信は「EUと日本が貿易協定に署名、保護主義にシグナルを送る」と題した記事の中で、「EUはトランプ政権の保護貿易主義の脅威を受け、盟友を探そうとしている」と伝えた。共同通信によると、日本は牧畜業者と酪農家を保護するため、天然バターなどには高額の関税を課す。EUは高品質の日本車を警戒している。双方は関税撤廃について慎重な態度を持っている。2013年に交渉が始まってから協定が署名されるまでの5年以上の間に、交渉に大きな進展があったのは、トランプ氏が大統領に就任した2017年以降だ。みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は「トランプ氏の貿易政策により、日本とEUが交渉を加速した」と述べた。共同通信によると、日本とEUが紆余曲折を経て最終的にEPAに署名できたのは、双方が同じ危機感を持っているためだ。双方は貿易戦争が続けば、自由貿易を基礎とする世界経済が重傷を被ると判断した。
EPA署名のほか、日本は米国抜きの「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」の早期発効を目指しており、これによって米国の貿易の脅威に対応する道具を増やそうとしている。CPTPPの11の参加国は18、19日の両日、神奈川県箱根町で初の首席交渉官会合を開く。CPTPPが発効するためには、6カ国以上が国内で審査・批准手続きを終える必要がある。日本は他国をサポートし、参加国を増やす措置を検討する。会合では、一致団結し自由貿易を推進することで、保護貿易主義のトランプ政権をけん制することを確認する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月18日