日欧EPAで保護主義に対抗、米国をけん制できるか?

日欧EPAで保護主義に対抗、米国をけん制できるか?。

タグ:日欧EPA 米国

発信時間:2018-07-19 15:48:52 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 「これはトランプ氏の保護貿易主義に対する姿勢だ」米国が貿易戦争を発動し、世界各国を敵とするなか、日本とEUの親密な握手は米メディアの肝を冷やした。日本とEUは17日に東京で、経済連携協定(EPA)に署名した。これは史上最大規模の自由貿易協定とされている。日欧はEPAの交渉を長く続けてきた。米国が保護貿易主義を貫くなか、標的にされた日欧は協定の署名を急いだ。米国のエリートはそこから何かを感じ取るだろう。米CNNは、日欧の貿易障壁の撤去は、トランプ氏の行為と対照的だと伝えた。ウォール・ストリート・ジャーナルは、日欧が米国を跨ぎ協定に署名したことで、「米国企業が極寒の中に取り残される」と嘆じた。


 日欧の協力で、米国をけん制できるだろうか。実力に大きな差があるため、双方がどれほど協力しても米国の一国主義による損失を相殺できないと分析されている。また米国の伝統的な盟友である双方は、積極的に対抗しているのではなく受動的に防御しており、「ボス」が気を変えることに期待している。問題は「ボス」が「米国ファースト」を続ける決意を固めているかだ。


 日欧が17日、EPAに署名すると、米メディアが警戒の目を向けた。ブルームバーグは、日欧の貿易協定は商品とサービスの流動の壁を減らし、米国の保護主義に対抗すると伝えた。ウォール・ストリート・ジャーナルは、日欧首脳は署名式の発言でトランプ氏の名前を挙げなかったが、自分たちの考えを隠すことはなかったと報じた。これはトランプ氏のやり方が、欧州と日本を近づけたことを浮き彫りにしている。


 CNNはアナリストの発言を引用し、「同協定は米国政府に強い姿勢を示した。米国の2大貿易パートナーのEUと日本は、関税引き上げではなく壁を取り払い、関税を引き下げるメリットを目にした。日欧が署名した巨大な自由貿易協定は、ほぼすべての商品の関税を削減するか撤廃する。同協定は6億人の人口、世界経済のほぼ3分の1をカバーする。保護主義の脅威が日増しに深刻化するなか、これは世界貿易体制に対する重大な承諾であり、トランプ氏の行為とは対象的だ」と伝えた。


 日欧EPAはさらに双方の立法機関による承認が必要で、来年3月に発効する見通しだ。ウォール・ストリート・ジャーナルは「米国を跨ぐ取引」と題した社説の中で、次のように論じた。トランプ氏は先週、EUを貿易の「敵」と呼んだ。今やEUは日本と協定に署名し、米国企業を極寒の中に取り残した。この交渉は数年続けられてきたが、トランプ氏の保護主義が署名を促した。米国を迂回する貿易自由化が増えている。トランプ氏にとって、最大の影響は製造業だ。関税撤廃のほか、日欧の協定はさらに基準を統一し、非関税障壁を取り払う。米国が輸入原材料及び部品の関税を引き上げるにつれ、製造拠点としての魅力が低下する。米国のサプライヤーが、サプライチェーンから除外される。


 米ニュースサイト「クオーツ」は、トランプ氏の保護主義はEUと中国にも歩み寄りを促していると伝えた。EU首脳は東京訪問前、北京で貿易・投資・知財ルールに関する共同声明に署名していた。ウォール・ストリート・ジャーナルは、世界のその他の地域がより自由な貿易から利益を手にし、米国の企業と消費者が損失を被ると伝えた。


 日欧メディアもEPAを対米けん制と見ている。ドイツのラジオ局は18日、これはEU独立の一歩だと例えた。トランプ氏の欧州歴訪で、欧州はより自立し強くなる必要性を認識したというのだ。欧州はすでにトランプ政権に幻想を抱いていない。ドイツ経済紙は「EUと日本は米国の最も緊密な盟友だ。双方の協定は、超大国への裏切りのようだ。EUと日本は成長した大人のように自立し、横暴な保護者に対抗しようとしている。欧州人は現在、行動によって自身の利益を守らなければならない」と報じた。


 18日付産経新聞は「日本は早くからEUにEPA署名を提案していたが、EUは慎重な態度を示し続けていた。今やトランプ政権が保護主義を推進する圧力を受け、EUは直ちに方針転換し日本とパートナーシップを結んだが、これは利益によるものだ」と報じた。「Nikkei Asian Review」は「EPAは自由貿易の取り組みに活力を注ぐ。世界が多国間主義に向かうなか、米国が冷遇される可能性が大幅に拡大している。米国が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)、日本や中国などが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などが交渉中だ」と伝えた。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月19日


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