「敵は社会そのもの」
報告書の発表後、東京医科大学は記者会見を開き、得点操作を「根絶」するとし、謝罪した。だが学校側の対応は、世論の怒りを静めるには至っていない。この事件を通じて明らかになった性差別の実態は、日本社会の痛い所を突いている。
日本の交流サイト(SNS)上では、多くの女性が不満をもらしている。ロイター社はあるネットユーザーのこんな声を伝えている。「結婚も出産もしないだろう29歳です。結婚しなければ可哀想な目でみられ、出産すれば仕事家事育児をせざるをえず、世界一短い睡眠時間の日本女性。(中略)その上能力まで制限されるなんて、怒りで震える」。また別の女性はこう記す。「親からの『女には学問はいらない』という圧力に負けないよう、日本で一番偏差値が高い大学の学部に現役で合格した。それなのに就職活動で言われたのは『君が男だったら即採用なんだけどね』。敵なのは親だけじゃなかった。社会そのものだった」
AP通信によると、大学に進学する女性は約50%にのぼり、この比率は世界でも高い。だが日本人女性は職場でしばしば差別を受ける。女性は家で家事をし、老人や子どもの面倒を見るものだという旧来の考えも根強い。調査によると、医師国家試験の合格者に占める女性の比率は過去20年にわたって30%前後となっている。専門家からは、ほかの医学部にも女性差別の慣例があるのではと疑う声も上がっている。林芳正文部科学相は「入学者選抜が公正に行われているかどうか、全国の国公立、私立大学の医学部・医学科を対象に緊急に調査する」との方針を示した。
安倍政権は、女性の地位向上をうたい、「ウーマノミクス」を掲げ、女性の職場進出を奨励している。だが分析によると、性差別は日本社会に根を張っており、その根絶は難しい。英フィナンシャル・タイムズ紙によると、世界経済フォーラムの男女平等ランキング(ジェンダー・ギャップ指数)で、日本は144カ国中114位と低い。東京医科大学のスキャンダルは、日本の性差別問題の根の深さを明るみに出すものとなった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年8月9日