露日平和条約の締結、日本を手こずらせる

露日平和条約の締結、日本を手こずらせる。

タグ:露日平和条約 プーチン 安倍

発信時間:2018-09-14 10:45:37 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 ロシアのプーチン大統領は先ほど東方経済フォーラムで、今年度中に「前提条件抜き」の露日平和条約を締結することを急きょ提案した。この提案は日本で強い反応を生んでおり、日本を悩ませている。


 日本は「あまりにも急な幸福」を感じている。半世紀以上に渡り交渉が続けられてきた日露平和条約の締結に、実現の希望が見えたかのようだ。その一方で「前提条件抜き」の締結は、ロシア側が締結前に南クリル諸島(日本名・北方領土)の帰属問題を解決するつもりがないことを意味している。日本側は締結により、領土問題の解決がさらに先延ばしになることを懸念している。


 米ソが対立した冷戦を背景とし、米国がサンフランシスコ講和会議を主宰し、サンフランシスコ平和条約を締結した。ソ連は出席したが、調印を拒否した。ソ連が国連安保理常任理事国だったため、日本は国連に順調に加盟するため、1955年からソ連と単独で平和条約の締結を模索し始めた。領土問題をめぐる立場に大きな差がありすぎ、かつ米国による妨害があったため、双方は1956年に共同宣言に署名し、戦争状態の終結を宣言したが、領土の帰属及び平和条約締結の交渉は現在まで続いている。


 安倍氏は首相に再任すると、対露関係を外交の重要な位置に据え、プーチン氏と首脳会談を22回開き、この外交の難題を解消するため力を入れた。しかしロシア側の態度が強硬で、実質的な進展はなかった。そこで安倍氏は次の計算をした。安倍氏は2016年5月、膠着状態を打破する「新アプローチ」を掲げた。これはロシアがクリミア問題で西側から制裁を受けている「チャンス」を利用し、日露経済協力の推進に力を入れることで、窮地に陥ったロシア側の立場の軟化に期待し、領土問題解決に向け環境を整えようとした。日本とロシアはその後、多くの経済・投資協力プロジェクトの協定を結んだが、今回のプーチン氏による「前提条件抜き」の条約締結の提案を見る限り、安倍氏の計算は空振りに終わったようだ。ロシアの立場も日本側の働きかけによってまったく「軟化」していない。


 またプーチン氏の提案の背景となっているのは、安倍氏がフォーラムのスピーチでロシア側に、条約締結の意志をこの場で確認すべきと呼びかけたことだ。プーチン氏は司会にコメントを求められると、逆に安倍氏を追い詰めた。日本メディアは、プーチン氏の意図は領土問題を棚上げすると同時に、日本から投資を獲得することと判断した。日本がその手に乗れるわけがない。何も手にせず終わることになるかもしれないからだ。


 安倍氏は外交で多くの「抱負」を持ち、戦後日本の外交の総決算を主張している。特に東アジアに残された冷戦を処理することを提案している。しかし日露領土問題は非常に敏感かつ複雑であり、領土問題を完全に回避し条約を締結することは、日本が60年以上貫いてきた要求の放棄を黙認することになる。安倍氏本人にその気があったとしても、国内の政界と世論からは賛同を得難いだろう。日本のごく少数の右翼分子は、ロシアに譲歩し条約を締結し、共同で中国を包囲すると主張しているが、これに至ってはさらに独りよがりと言えよう。(筆者・胡継平 中国現代国際関係研究院研究員)



「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年9月14日

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